D3マイティダックス

1997/11/17 徳間ホール
人気シリーズ第3弾は、成長した選手たち中心の青春ドラマ。
パターン通りの展開だけど安心して観られる。by K. Hattori



 『飛べないアヒル』『D2:マイティダック』に続く、人気シリーズ第3弾。少年ホッケーチーム、マイティダックの面々も成長して、いよいよ高校入学。地域の名門校にスポーツ特待生として入学し、奨学金付きのハイスクールライフです。この3作目になって、今までチームのコーチをしていたゴードン・ボンベイ(エミリオ・エステベス)が抜け、アヒルたちは新しいコーチの下で練習をはじめる。ところがこのコーチは、今までの自由奔放なダックスの練習を完全否定し、あまつさえ「ダックスは死んだ」と宣言してユニフォームを脱ぎ捨てさせてしまう。キャプテンの資格を剥奪されたチャーリーは、コーチの新方針に対する反発からチームを抜けてしまう。ダックスはあわや解体という危機をむかえることになる。

 チーム内部での不協和音に加え、外部からの圧力も高まってくる。メンバーが入学したスポーツ名門校にはホッケーチームが既に存在しており、ダックスはそのチームの二軍扱い。一軍のウォリアーズは有形無形の嫌がらせで、ダックスを学校から追い出しにかかる。息子がウォリアーズのメンバーだという学校の理事長は、ダックスの成績不振を理由に奨学金のカットを提示。奨学金なしでは、ダックスのメンバーは学校に残れない。四面楚歌のこの状況を抜け出すには、学校主催の紅白戦でダックスがウォリアーズを破り、実力を示すしかない。

 落ちこぼれ弁護士がホッケーチームのコーチをすることを通して人間的に成長して行くという『とべないアヒル』のコンセプトが、チームのメンバーが成長したことで主役が選手側にシフトしています。エミリオ・エステベスの退場も、これはやむを得ない。役者側の都合もあるのかもしれませんが、今回のコーチ交代劇は、物語に新鮮な空気を送りこむ役割を果しています。エステベスの甘いマスクでは、高校生になったダックスの選手たちと張り合えない。新コーチに扮したジェフリー・ノードリングは堅物の鬼コーチぶりが柄にあっていて、物語前半の推進役としてはうってつけです。

 序盤の快進撃→小さなつまずき→大敗退→低迷→チームの和の再発見→猛練習と巻き返し→大勝利→新しい友情のはじまり、というスポーツ青春劇の黄金律をきっちりと守った構成は、安心して観ていられます。脚本はシリーズ全作品を担当しているスティーブン・ブリル。キャラクターひとりひとりの魅力で物語をひっぱるタイプの映画で、予定調和的な物語を人物の魅力だけで乗り切って行く。大局的に見ればワンパターンな展開なのですが、キャラクターの個性はひとりひとり違うのだから、当然そこには個別の物語が生れる道理です。

 試合場面の迫力ある映像も、この映画の見どころのひとつでしょう。足場の悪そうな氷上でも、ちゃんと移動撮影をしています。前後左右に動き回る音響効果も、映画館ならではのもの。大きな画面で観ていると、まるで自分がホッケーリンクの中に立っているような感覚を持ちます。パート4が今から楽しみになる映画でした。


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