ロミーとミッシェルの場合

1997/09/09 ブエナ・ビスタ試写室
高校時代からの仲良しコンビが意地悪な同窓生たちに復讐!
とぼけた味のある不思議な青春映画。by K. Hattori



 原題は『Romy & Michele's High School Reunion』。高校時代の仲良し女の子ふたり組が、卒業から10年たった同窓会で故郷に錦を飾ろうと奮闘する物語。主演は『誘惑のアフロディーテ』でアカデミー賞をとり、日本では『ノーマ・ジーンとマリリン』の公開が待機中のミラ・ソルヴィーノと、テレビで活躍中のリサ・クードロー。ミラ・ソルヴィーノは、『誘惑のアフロディーテ』でも『ノーマ・ジーンとマリリン』でも、この『ロミーとミッシェルの場合』でも、少しオツムの足りないような役が多いなぁ。本人はインテリなのに……。

 いつも不機嫌な顔をしたかつての同級生役で、『好きと言えなくて』のジャニーン・ガラファロも顔を出しています。この人は『ビル・マーレーの小さな贈り物』でも無愛想な動物園の飼育係を演じてた。無愛想とか不機嫌とかをやらせると、この人は見事にはまって、しかも嫌味で不愉快な後味を残さない女優ですね。

 監督はテレビ出身のデビッド・マーキン。『ザ・シンプソンズ』を手がけていた人だそうで、映画の中にも同番組を見て笑い転げている人たちの姿が描かれています。脚本のロビン・シフは、女子トイレで聞きつけた会話をもとに書いた大ヒット舞台『レディース・ルーム』で有名な戯曲家。『ロミーとミッシェルの場合』は、『レディース・ルーム』に登場する人気キャラクター、ロミーとミッシェルの後日談なのだそうです。こうなると、『レディース・ルーム』の方がどんな内容だったのか気になりますね。いつか機会があったら観てみたいです。

 この映画はストーリー云々より、キャラクターの魅力でぐんぐん引っ張って行くタイプの物語。ロミーとミッシェルのキャラクターにどれだけ共感できるかで、この映画にノレるか否かが決まると思います。物語の展開はポイントが定まらずにボンヤリとした印象を残しますが、個々のキャラクターが立っているので最後まで飽きずに見られ、後味も悪くない。強引な筋運びや描写も、ややクサイところがありますが、なんとか芸になってます。クライマックスのダンスシーンとヘリコプターでの脱出など、あまりにも強引な展開ですが、観客がそれを許せるのは、キャラクターの魅力があるからでしょう。

 何の根拠もなく常に自信満々のロミーとミッシェルのキャラクターが、やはり最高に面白い。ふたりがディスコで踊り狂いながら、「いい男がいないわ。30になっても互いに相手が見つからなかったら、いっそ女同士も試してみましょうか……」というくだりは可笑しかった。同窓会に提出するアンケートに答えながら、「私たちの生活って、たいしたことないわ……」と突然悟ってしまうあたりもカワイイ。コンビをリードして行くのはやはりミラ・ソルヴィーノですが、終盤でリサ・クードローが俄然輝き始めるところがあり、目が離せません。

 楽しい映画なんですが、気になるのは出演者がみんな、高校生と三十路一歩手前の現在を平気で演じ分けていること。すげー老けた顔した高校生ばかりなんだよね。


ホームページ
ホームページへ