ウルトラマンゼアス2
超人大戦・光と影

1997/04/12 新宿松竹
多彩なゲスト出演にも助けられ、大人も子供も楽しめる映画になった。
監督小中和哉の持ち味が生かされた佳作。by K. Hattori



 前作『ウルトラマンゼアス』はじつは未見なのですが、CM界から中島信也監督を担ぎ出して作った、ほとんど企画映画といった雰囲気でした。ゼアスというネーミングも含め、すべて協賛企業からのタイアップだけで製作費をまかなったことが話題になりました。今回は監督も小中和哉に代わり、出演者にも若干の入れ替わった新しいゼアスの誕生です。見所はゼアスを窮地に追い込むシャドーとの対決と、特別出演している正道会館の選手たちでしょう。館長の石井和義、師範の角田信朗、K-1チャンピオンのアンディ・フグなどが見せる演武は、映画的な演出があるとは言え本物の迫力です。

 映画が始まったとたん、いきなりゼアスがシャドーに負けてしまうという衝撃的なオープニング。実写、CG、デジタル合成を駆使した格闘場面はいかにも作り物ですが、作り物なりの迫力があります。猛スピードで移動する1対のウルトラマンに、めまぐるしく変わるカメラアングル、CGならではの視点の高速移動、画面がスパークするようなデジタルエフェクトなど、ケレン味たっぷりの演出にニヤリとさせられます。

 特技監督も担当している小中和哉のこうした演出は、秋葉原の電気街で格闘ゲームのキャラクターが活劇を演じるという映画『THE DEFENDER』でも見られたもの。『THE DEFENDER』は物語の枠組みや筋立てのスケールに、ビジュアルイメージが収まりきらなかった失敗作だったと思いますが、小中監督の派手で大味な映像センスは、荒唐無稽な『ウルトラマンゼアス』でこそ生きています。今後も『ゼアス』をシリーズ化するのであれば、ぜひとも小中監督に演出をお願いしたいものです。

 映画館は小さな子供と、それを連れたお父さんやお母さんたちで、いつになく活気づいていました。子供たちはゼアスの登場に大喜びで、とんねるずの歌うテーマ曲に合わせて、場内からは子供たちの歌声が聞こえてくるという状態。子供は映画を観るマナーがいいとは言えないんですが、こうした映画なら子供も大歓迎。これは大勢でギャーギャー騒ぎながら観る映画です。

 ウルトラマン・シリーズで育った保護者にとっても、この映画は十分楽しめたはず。超宇宙防衛機構(MYDO)日本支部の隊長・薩摩萬を演じるのは、「ウルトラセブン」の森次晃嗣。ニュースキャスターは「帰ってきたウルトラマン」だし、通行人には初代「ウルトラマン」もいます。それぞれに見せ場もあって、セブンは「カプセル怪獣か、懐かしい」としみじみ語るし、怪獣を見たウルトラマンは変身シーンを再現してくれる。ゼアス復活を中継中のキャスターが「ウルトラマンが帰ってきました!」と叫ぶ場面は涙が出そうになったよ。こうした「懐かしい顔ぶれ」を見せる場面では、場内の大人たちが大笑いしていたぞ。

 『ウルトラニャン/星空から舞い降りたふしぎネコ』『最強への道/WELCOME TO THE K-ZONE』も同時上映。大人も子供も楽しめる興行になってます。


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