ガメラ2・レギオン襲来

1996/07/02 ヤクルトホール(試写会)
1作目同様、鳥肌が立つような興奮が味わえる傑作怪獣映画。
脚本と芝居が臨場感たっぷり。特撮も冴えてる。by K. Hattori


 復活第1作『ガメラ/大怪獣空中決戦』で観客を熱狂させたガメラが、またスクリーンに戻ってきた。今回も前作に劣らず、観客を熱狂させること必至の壮絶な映画に仕上がっている。シリーズ映画の常として、前作に登場したキャラクターも何名かゲスト的に出演。それに加えて今回は脇役端役にいたるまで、かなり豪華なキャスティングになっていて、それを見るのも楽しい。タイトルにもなっているレギオンという宇宙生物のネーミングは、新約聖書のマルコ伝5章から取られたもの。伊藤和典は聖書からの引用が好きですねぇ。

 前作が「まず最初にギャオスありき」だったのに比べると、今回は敵役であるレギオンが実際に姿を現すまでかなり時間をかけている。隕石の墜落、落下物の失踪、通信網の断絶、ガラス製品の消滅など、徐々にレギオン出現への期待感がふくらんでゆく様子はモダンホラーの味わい。日常の中に飛び込んだ異物がゆっくりと増殖してゆく過程が、スティーブン・キングばりの生活描写とディテールの積み重ねで描かれている。この部分がきちんとできているから、いざレギオンが姿を現われて話が走り出しても、物語が浮ついたものにならないんでしょうね。逆に散々じらされた後だけに、レギオンと自衛隊の戦いやガメラの出現に素直に入り込めるんです。

 この映画は自衛隊が撮影に全面協力しているそうで、出てくる飛行機戦車ヘリコプターは本物の迫力。タイトルのトップに出てくるのは、自衛官役の永島敏行だもんね。重要なキャラクターとしてNTTの職員が出てくるなど、世間一般に嫌われている方々をヒーローに仕立てている部分を感じました。ただ、自衛隊が地下鉄に取り残された生存者を救出する場面は、ちょっと他の場面から浮いていたなぁ。あれは不要なカットでしょうね。

 物語自体は1作目の方がよく整理されていたような気がします。今回はヒロインである水野美紀が、どんな権限で自衛隊に協力しているのかよくわからなかった。レギオンの生態についても、ちょっと説明不足じゃないのかなぁ。自衛隊の動きはすごくリアルに感じられたんだけど、他がお留守になってしまったのは残念です。

 特撮部分は前作以上に力が入っていて、観ていてもワクワクします。札幌・仙台・足利に加え、前作で壊された東京タワーもちゃんと登場するところが泣かせますねぇ。特撮ステージの数は、前作の数倍になっているんじゃないでしょうか。前作では長崎・福岡から東京へと、西から東にギャオスが移動しますが、今回は北海道からレギオンが東京を目指す。きちんと作り込まれたセットを思う存分壊しまくる様子に、思わずほれぼれしました。ガメラが高速飛行から着地し、横滑りに滑りながら火球を3連続放射する場面もかっこいいぞ!

 怪獣が次々日本ばかり襲うのはやっぱり不自然だから、このシリーズはこれで終わりにしてほしいなぁ。


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