ホーリー・ウェディング

1995/06/17 東劇
贔屓の女優パトリシア・アークエットが目当てで見た映画。
監督はミスター・スポックことレナード・ニモイ。by K. Hattori



 『インディアン・ランナー』で僕をノックアウトしたパトリシア・アークエットが主演する、軽いコメディ映画。彼女は『トゥルー・ロマンス』のアラバマ役も演じていたけど、僕にとっては断然『インディアン・ランナー』の人ですね。あれ以上のはまり役はありません。最近ニコラス・ケイジと結婚したそうですが、するてえと『インディアン・ランナー』の出産シーンで生んだ子どもはケイジの子どもなんでしょうか。そんなことが気になります。彼女は『エド・ウッド』にも出演しているから、それも今から楽しみにしている。ウシシシシ。

 で、『ホーリー・ウェディング』ですが、はっきり言ってこれはアークエットの魅力だけでなんとか最後まで観ることができる映画です。プロットにすごく無理がある。話は単純なんだけど、そんな馬鹿なという話を強引に軽いコメディに仕上げようとしているのが大失敗。これはハチャメチャのスラップスティックにしなければ、どうしようもない素材なんだなぁ。馬鹿げた話にヘンなリアルさはいらない。ひたすらバカバカしさを徹底してほしかった。

 前半がちょっとモタモタしすぎ。あの兄貴はもっと早い時期に殺してしまうべきです。また、アークエット演ずるハバナの馬鹿女ぶりを、もっとコミカルに大げさに描写しておくべきでしょう。このあたりが中途半端で、ジーク役のジョセフ・ゴードン・レビットが町の入口に「馬鹿女ひとり」と書いても観客の共感を得られない。むしろ、恋人に無理矢理ヘンテコな宗教コロニーに連れてこられた彼女に、僕なんか同情してしまいますね。(時期が時期だしなぁ。これじゃ強制出家です。)彼女があのコロニーで不適応を起こしてしまうのは当たり前でしょう。また、コロニーで生活している人たちの描写も、ちょっと平板で上っ面を舐めただけのような印象だった。もう少し突っ込んで、敬虔なキリスト教生活の根底にある人間的な部分を描けるとよかったと思う。まぁでも、この映画に『刑事ジョン・ブック/目撃者』を期待してもしょうがないかな……。

 どこまで行っても、物語がスムーズに転がり出して行かないのには参りました。ハバナとジークが盗んだ金を返すために二人旅に出ても、どうも物語はぎくしゃくしたままなんですね。結局、ハバナの金に対する執着が徹底して描かれていないから、二人の価値観の相違のようなものが際立ってこない。それが描けていれば、最後に価値観がひっくりが返る大逆転劇が盛り上がるんだけどなぁ。都会の垢にまみれた小ずるい女が、少年との旅を通してまっさらな人生をやり直す気になるという物語のはずなのに、エピソードがつぼにはまらず空回りしていました。

 ところで、この二人の結婚は結局無効ということになるんでしょうか。すごく気になりました。


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