先輩アイドルを殺して彼女に成り済まし、その後はグループ名をBiSに改名してごく短期間のアイドル活動をしていたルイとユフ。彼女たちは殺人罪で警察に逮捕されたが、ただひとり逮捕を免れたノンちゃんは、アルバイトをしながらアイドル養成施設を作ってふたりの出所を心待ちにしていた。同じ頃、発電所からの放射能漏れで世間の批判を浴びていたハピネス電力では、会社がプロデュースするアイドルグループ、エレクトリック★キス(略称エレキス)を使って発電のイメージアップを行っていた。彼女たちは洗脳療法で人格改造され、発電所に敵対する者たちを抹殺する殺し屋としても活動していたのだ。ルイはそれを知らぬまま、減刑に釣られてエレキス新メンバーに応募して洗脳されてしまう。拘置所でエレキスの刺客に襲われたユフは、何とか脱走に成功。ノンちゃんに新メンバーのミッチェルを加えた新たなBiSで、ルイの奪還を目指そうとするのだが……。
2012年に劇場で公開され、その後BiSのアルバム「Idol is Dead」のDVD特典として発売された映画『アイドル・イズ・デッド』の続編。前作は62分の超低予算中編映画だったが、今回の映画はそれに比べるとずっとゴージャスな84分の長編映画になった。ちなみに僕の基準では30分以内なら短編、70分までなら中編、それ以上なら長編映画だ。映画祭などでは厳密な基準を設けているところもあるのだが、短編は概ね30分以内。長編映画はそれ1本で劇場での興行が成り立つ長さの作品だ。前作『アイドル・イズ・デッド』は「MOOSIC LAB 2012」でのイベント的な上映(他作品との抱き合わせ販売みたいなもの)だったので、今回のパート2はBiS主演映画の初単独公開ということになるのだと思う。
前作はBiSのメンバー3人を中心にしたごく小規模な映画だったが、今回は昨今何かと話題の「原発問題」を取り上げた他、BiSのライバルとなるアイドルグループ、エレクトリック★キスを登場させるなど世界観が一気に広がった。前作が低予算映画の底割れそのものをエンタテインメントに仕立てていたのに対し、今回の映画はわりとオーソドックスな低予算B級映画になっているのだと思う。だがこの映画は決して予定調和にならない。最後までキレイにまとめようとせずに、パワー全開で最後まで突っ走る。
今回はストーリー構成の都合もあって、BiSのメンバーが勢揃いしてライブを行うシーンが最後の最後にほんの少しだけ。しかしエレキスのライブを乗っ取るように歌い始めたBiSのメンバーたちが客席のハートをガッチリつかみ、巨大なうねりとなって行く場面はすごい迫力だ。
なお映画1作目にも出演していたテラシマユフと、今回から参加のミチバヤシリオ(ミッチェル)は映画公開前に脱退したとのこと。あれまあ……。
前作:アイドル・イズ・デッド
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