G.I.ジョー

バック2リベンジ

2013/05/24 パラマウント試写室
アクションシーンは面白いが物語のメリハリがいまいち。
でもパート3も作るんだろうな。by K. Hattori

13052401  2009年製作の映画『G.I.ジョー』の続編だが、監督が替わり、出演者の顔ぶれもだいぶ入れ替わっている。僕は前作を観ていないのだが、それでも楽しめたの世界観が半分ぐらいリセットされているからだろう。リブートではないが、事実上の仕切り直しになっているのではないかと思う。G.I.ジョーのチームを率いる主人公ロードブロックを演じるのは、『スコーピオン・キング』のドウェイン・ジョンソン(ザ・ロック)。悪の軍団コブラの策謀で孤立無援になっているチームを助けるのは、チームのOBである伝説の男ジョー・コルトン司令官。演じているのはブルース・ウィリス。イ・ビョンホン、チャニング・テイタム、レイ・パーク、ジョナサン・プライスなどは前作から引き続き出演して、世界観の継承を行っているようだ。監督は前作のスティーヴン・ソマーズからジョン・チョウに交代。ソマーズは製作総指揮を務めることになった。

 テロリストに核弾頭が渡るのを阻止するため、パキスタンに渡ったG.I.ジョー・チーム。作戦は成功したが、帰還のために集合していたチームに突然武装ヘリが襲いかかる。世界最強の特殊部隊も圧倒的武力の前には為すすべがなく、ロードブロック、レディ・ジェイ、デュークの3人を残して全滅。この襲撃の背後にアメリカ大統領がいると考えた3人は、救援を呼ぶこともできないまま秘かにアメリカに帰国。元祖G.I.ジョーのジョー・コルトン司令官に助けを求める。同じ頃、特殊刑務所からの脱獄に成功したテロ組織コブラの幹部たちは、世界征服のための準備を着々と整えていた……。

 見せ場満載の楽しい映画だが、中でもヒマラヤの僧院で行われる忍者同士の空中戦は一見の価値ありだ。垂直の岩肌からザイルで吊された忍者たちが、垂直の壁を駆け回りながらチャンバラをする。これは似たようなものをシルク・ドゥ・ソレイユの映画で観たことがあるから、製作者たちもおそらく同じようなところから発想してこのシーンを作ったのだと思う。ただしこれに比べると、映画の中には他にユニークなアクションシーンがあまりなかったように感じるのが残念。ジョナサン・プライス演じる偽大統領が、各国首脳を集めて核廃絶を迫る場面は面白かったが、これはアクションシーンじゃないからなぁ……。

 全体として大味な仕上がりなのは、主人公たちが世界各地を転々としながらも、その移動にメリハリがないからだろう。主人公たちがパキスタンで孤立無援の状態になるという強力な枷(かせ)を作りながら、次の瞬間には彼らがちゃっかりアメリカに戻っているというのが不思議でならない。彼らはいったいどうやってアメリカに戻ったのだろうか。枷を作ったらそれを利用してドラマを盛り上げるのがセオリーなのに、それを無視されると観ている方は肩すかしを食ってしまう。ストームシャドーを巡るドラマも高揚感に欠けるのが残念だ。

(原題:G.I. Joe: Retaliation)

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6月7日(金)先行ロードショー
6月8日(土)TOHOシネマズスカラ座ほか
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
2013年|1時間51分|アメリカ|カラー|シネマスコープ|5.1ch、7.1ch
関連ホームページ:http://www.gi-j.jp
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
サントラCD:G.I.ジョー バック2リベンジ (帯付き直輸入盤)
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