イム・ナミは夫と高校生の娘とソウルで暮らす平凡な40代主婦。母を見舞って病院を訪れた際、ナミは別の病室で見覚えのある名前を見かける。病室にいたのは高校時代の同級生で、親友でもあったハ・チュナだった。ガンで余命2ヶ月と診断されているチュナは「もう一度昔の仲間たち、サニーのメンバーに会いたい」とナミに告げる。ちょうどナミの夫も長期出張で家を留守にするし、調査にかかる費用はすべてチュナが持つという。ナミはかつての親友の頼みを引き受け、母校の教師のつてや探偵事務所を使って、ひとりずつ昔の友人たちを見つけ出して行く。だが高校卒業から25年。ナミ自身も含めたそれぞれの人生は、かつて想像し夢見ていた姿とはまるで違うものになっていた……。
映画の形式は1983年のアメリカ映画『再会の時』に似ている。ローレンス・カスダンが監督した『再会の時』は、学生時代の友人の葬儀のため15年ぶりに集まった友人たちが、それぞれの人生の問題を抱えながらもかつての友情を取り戻すという物語。主人公が昔の仲間をひとりずつ訪ねると、そこでその人物の過去と現在が交差して行くという構成は、ジュリアン・デュヴィヴィエが1937年に撮った『舞踏会の手帖』のようでもある。中年に差し掛かったヒロインが、若かりし頃に出会ったダンス相手の男性たちを20年ぶりに訪ねて歩く物語。『サニー 永遠の仲間たち』はいわばその韓国版だ。こうした映画では現在と過去をひとりの役者が演じ分けてみせることも多いが、この映画では25年前の高校時代と現在を別々の役者に演じさせている。それでも何となく面影が似ていたり、雰囲気が似通っているのが本作の見せ所でもある。まったく似ていないメンバーを連れて来て、「美容整形のやり過ぎで昔の面影がぜんぜんない」というのをギャグにしているのも面白い。
映画はタック&パティが1988年にカバーした「タイム・アフター・タイム」のイントロで幕を開き、高校時代のエピソードでシンディー・ローパーの「ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン」(1983)を聴かせて、エンディングは再びタック&パティの「タイム・アフター・タイム」を今度はたっぷりと聴かせて幕を閉じる。映画のクライマックスで流れる「サニー」は、ボニーMが1976年にカバーしたディスコバージョン。リチャード・サンダーソンの「愛のファンタジー」も懐かしい。これは1980年の映画『ラ・ブーム』のテーマ曲だから、時代的には少しずれているのだが、甘ったるいメロディが劇中で素晴らしい効果を上げている。
仲のよかったサニーのメンバーたちがなぜ25年間も音信不通だったのかなど突っ込みどころもあるが、それを映画の映像マジックで乗り切って行く演出の力強さ。これは日本でも権利を買って、懐メロたっぷり詰め込んでリメイクすればいい。日本版の配役を考えるだけで楽しくなる映画だ。
(英題:Sunny)
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