DOCUMENTARY of AKB48

Show must go on

少女たちは傷つきながら、夢を見る

2012/01/17 アキバシアター
人気アイドルグループAKB48の2011年を総まとめ。
これは体育会系の熱血スポ根路線なのだ。by K. Hattori

Akb48  人気アイドルグループ、AKB48の1年間を取材したドキュメンタリー映画。2011年1月に公開された『DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?』(僕は未見)の続編にあたる作品だが、今回は2011年3月に起きた東日本大震災が常に映画の背景に見え隠れする内容になっている。被災地出身の研究生が抱えている葛藤。被災地慰問で見た瓦礫だらけの風景。慰問先で出会った被災者たちの笑顔を前に、感激して涙ぐむメンバーたち。被災地出身の研究生も慰問メンバーの一員として現地に行き、仮設ステージの上で精一杯のパフォーマンスを見せる。昨年1年を象徴する言葉は「絆」だそうだが、この映画でも見えてくるのは同じものだろう。AKB48と彼女たちを支えるファンたちの絆。メンバー同士の絆。そしてスタッフたちとの絆。

 1年間の出来事を時系列に構成しているので、散漫であったり冗長であったりする部分もないわけではない。映画全体としては東日本大震災とAKB48というのがひとつの大きな柱ではあるが、それに関わりのないイベントも当然あるのだし、その方が映画の中では盛り上がっている。前半の山場は選抜総選挙で見せるメンバーたちの涙であり、中盤の山場は西武ドームで見せるメンバーたちの汗だ。このドームコンサートの舞台裏を見ると、AKB48の体育会系の素性がよくわかる。熱中症で倒れそうになりながらステージ下を走り回り、スタッフから酸素吸入やアイシングを受けている姿を見ると、これは炎天下で試合をする高校野球と変わらないなぁと思う。選抜メンバーは高校野球で言えばスタメンのレギュラー選手であり、センター位置はエースで4番の花形選手。キャプテンはチームのまとめ役。歌って踊るアイドルグループの映画だが、ここで描かれているのは「サインはV」や「アタックNo.1」などの女性版スポ根マンガの世界であり、汗と涙と友情の熱血ドラマなのだ!

 基本的にAKB48のファンが観る映画だと思うが、僕のように取り立ててファンというわけではない人間が観ても面白い映画になっている。それはここに登場するエピソードがどれも作り事ではなく事実だという、ドキュメンタリー映画ならではの面白さからだ。西武ドームの初日のコンサートがダラダラと終了し、「自分たちでもわかっていると思うが、今日のコンサートは最低だった」と秋元康に酷評されたメンバーたちが、夜遅くまでの練習と翌日のリハーサルでコンサートの内容をレベルアップさせ、本番で完全燃焼するくだりはこの映画のハイライト。たぶんこれだけで、1時間半の映画が作れるぐらいの内容だと思う。映画は舞台裏ばかりで構成されてステージ上のパフォーマンスはほとんどカットされているのだが、コンサートの様子が見たいならDVDを買えということだろう。

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1月27日公開予定 TOHOシネマズ六本木ヒルズ
配給:東宝映像事業部 宣伝:エレクトロ89
2012年|2時間1分|日本|カラー
関連ホームページ:http://www.2011-akb48.jp/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
関連DVD:AKB48 よっしゃぁ~行くぞぉ~!in 西武ドーム
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