パラノーマル・アクティビティ3

2011/10/18 パラマウント映画試写室
人気シリーズ3作目だがストーリーとしては一番最初。
途中(2作目)未見ながら楽しめた。by K. Hattori

Paranormal3  2009年にアメリカで公開されて話題となり、翌年日本でも公開されてヒットしたホラー映画のパート3。映画の1作目はケイティとミカという同棲中のカップルが主人公。続編の『パラノーマル・アクティビティ2』はケイティの妹クリスティに軸足が移り、今回のパート3ではさらに、ケイティとクリスティの子供時代が描かれるという趣向。要するに「続編」ではあるけれど、時計の針はどんどん逆戻りしていくのだ。

 物語がスタートするのは『パラノーマル・アクティビティ2』の少し前。新しい子供部屋を準備しているクリスティの家が荒らされて、地下室に放り込んであった祖母の形見の古いビデオテープが消失しするところから始まる。結局一度も見ることがなかったテープだが、犯人は一体何が目的でそれを盗っていったのだろうか。ここから物語は、その消えたテープの中身を紹介して行く。そこに写っていたのは、まだ幼いケイティとクリスティ。彼女たちが母親やその恋人と暮らしている家に、何やら不思議な現象が起き始める。母親の恋人は結婚式場のビデオ撮影が仕事で、商売柄自宅にはたくさんの機材が揃っている。彼は自分たちの寝室、子供部屋、1階の食堂と居間などにビデオをセットし、出来事の正体を探ろうとするのだった……。

 じつはパート2を観ていないので話のつながり自体はわかりにくいところもあったのだが、映画としてはこれ単独でも楽しめる。何しろ話はプリクエル(前日譚)だから、これ以前の映画が物語の「前提」にはならない。映画を観ると「なるほどこの人物がこうなるのか」とか「あの人物にはこんな過去があったのか」という話になるわけだが、映画の中ではそうした「未来の出来事」と無関係にドラマが進行して行くわけだ。要するに『パラノーマル・アクティビティ』というシリーズは、時系列やキャラクターでは互いに関連するひと続きの時間と世界を共有している映画でありながら、3本の映画をどこから観てもまったく支障がないという構成になっている。これはシリーズ映画にとって、ある種の「発明」ではないだろうか。僕はこの映画の内容そのものより、こうした映画の仕掛け部分に感心させられてしまうのだ。

 映像的には「いつもの通り」という感じだが、この映画シリーズほど、カメラのフレームが持つ「見せない機能」や「隠す機能」が巧みに利用されているものはないように思う。回しっぱなしのビデオカメラという虚構が、じつは映像を巧妙にカットしたりモンタージュしたりしているのだ。カメラが自動装置で首を振るたび人影が少しずつ近づいてくる場面は、溝口健二の『雨月物語』(これも幽霊の話だ)に似たようなシーンがあったようにも思う。名手宮川一夫も扇風機の部品も同じ効果を生み出すわけで、この映画の中ではこれが一番のアイデアだったかも。

(原題:Paranormal Activity 3)

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11月1日公開予定 TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
宣伝:フレスコ、デジタルプラス
2011年|1時間24分|アメリカ|カラー
関連ホームページ:http://www.paranormal.jp/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:パラノーマル・アクティビティ3
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