ラブ&ドラッグ

2011/10/18 シネマート試写室(シネマート六本木3)
バイアグラのセールスマンが出会った運命の女性とは!
難病のヒロインをアン・ハサウェイが好演。by K. Hattori

Love_drugs  医者の一家に生まれたジェイミーは、一家の中では落ちこぼれの問題児。大学を中退した後もこれといった定職に就くことがない。しかし持ち前の明るく朗らかな性格と口八丁手八丁の話術、そして女心をくすぐる甘いマスクと口説きテクニックは一流だ。そんな彼が大手製薬会社ファイザーのMR(Medical Representative。医薬情報担当者のことだが、ようは製薬会社のセールスマン)として働くことになる。持ち前のトークテクニックで、みるみるうちに病院の医師に食い込んでいくジェイミー。しかしいくら病院関係者と親しくなっても、彼の担当する薬には強力な競合薬(プロザック!)があって売上には結びつかない。だがファイザーからED治療薬のバイアグラが発売されるや、ジェイミーの営業成績はうなぎ登り。あっと言う間に地区ナンバーワンの成績を上げるに至る。同じ頃、恋人のマギーは若年性パーキンソン病の症状が悪化して行くことに苦しんでいた……。

 原作は2005年に発売された「涙と笑いの奮闘記―全米セールスNo.1に輝いた“バイアグラ”セールスマン」という実録本(邦訳も同年発売されているが現在は絶版)。ただし映画に登場するマギーというヒロインは映画のためのオリジナル人物で、映画は主人公のMRとしての活躍よりむしろマギーとの関係を軸に進行していくのだから、実質的にこの映画はほとんどオリジナル・ストーリーと言っていいだろう。主人公ジェイミーとマギーのロマンスの背景にある主人公の職業として、ファイザー社のMRという仕事を借りてきただけにも思える。ただしMRというのは医療関連の仕事の中でも、映画やドラマの中にもなかなか登場しにくい地味な存在。それにスポットライトを当てたという点で、この映画はなかなかユニークなものになっている。医者が主人公の映画は山のようにある。患者が主人公の映画はその何十倍もある。看護婦が主人公の映画もあるだろう。少なくともこういう人たちは病院の中では表舞台に出ている主役なのだ。しかしMRは裏方もいいところ。この映画では最初病院関係者にペコペコ頭を下げ回っていた主人公が、バイアグラの登場で一躍王様のように振る舞いはじめるところが痛快だ。

 『ラストサムライ』のエドワード・ズウィック監督にしては地味な映画で、そのせいか製作は20世紀フォックスなのに、日本の配給は別会社で小規模公開。たぶんこれを映画館で観る人は少なくて、DVDで観る人がほとんどだと思う。しかしこれは、結構立派な映画なのだ。実話テイストの難病メロドラマではあるのだが、主演のジェイク・ギレンホールとアン・ハサウェイはメジャーな俳優だし、脇を固めるオリバー・プラットやハンク・アゼリアも堅実ないい芝居を見せている。笑わせて、ホロリとさせて、ちょっとエッチ。これは間違いなくお薦めできる、王道のデート向け映画なのだ。

(原題:Love and Other Drugs)

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11月19日公開予定 シネマート新宿
配給:エスピーオー 宣伝:グアパ・グアポ
2010年|1時間53分|アメリカ|カラー|アメリカンビスタ(1:1.85)|ドルビーデジタル、DTS
関連ホームページ:http://video.foxjapan.com/love-drugs/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:ラブ&ドラッグ
DVD:Love & Other Drugs
原作:涙と笑いの奮闘記―全米セールスNo.1に輝いた“バイアグラ”セールスマン(ジェイミー・レイディ)
関連DVD:エドワード・ズウィック監督
関連DVD:ジェイク・ギレンホール
関連DVD:アン・ハサウェイ
関連DVD:オリバー・プラット
関連DVD:アンク・アザリア
関連DVD:ガブリエル・マクト
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