3時10分、決断のとき

2009/06/26 松竹試写室
ラッセル・クロウとクリスチャン・ベイル主演の本格西部劇。
ドラマもアクションも見応えがある。by K. Hattori

3:10 to Yuma (2007) (Full Sub Ac3 Dol Chk Sen) [DVD] [Import]  南北戦争で片足を失った貧しい農場主ダン・エヴァンスは、妻と二人の息子の4人暮らし。だがようやく手に入れた農場を、借金のかたに奪われそうになっていた。金を借りている地主と交渉するため町に出かけたダンは、賞金首のお尋ね者ベン・ウェイドの逮捕現場にたまたま遭遇する。ウェイドは強盗団のリーダーだ。ぐずぐずしていれば仲間たちが彼を奪還に来るだろう。ウェイドを捕らえたピンカートン探偵社は、この厄介な囚人の護送に200ドルの報酬を提示する。ダンは借金返済のために、この仕事を引き受けることにした。2日後の午後3時10分、コンテンションの町を通る囚人護送列車にウェイドを乗せれば仕事は終わりだ。こうしてわずか数人の護衛が、一路コンテンションを目指す。はたして彼らは、無事にウェイドを刑務所に送ることが出来るのだろうか?

 1957年に製作された西部劇映画『決断の3時10分』(原題は『3:10 to Yuma』で同じ)を、『“アイデンティティー”』や『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』のジェームズ・マンゴールド監督がリメイクした本格西部劇。原作は『ゲット・ショーティ』や『ジャッキー・ブラウン』のエルモア・レナード。映画は1957年版のためにハルステッド・ウェルズが脚色した脚本を、『ワイルドスピードX2』や『ウォンテッド』の脚本家コンビ、マイケル・ブラントとデレク・ハースが改訂する形を取っている。オリジナルは未見だが、この映画に登場する人物たちは誰もがじつにリアル。ここには単純な悪党もいなければ、単純な善人もいない。それぞれ異なった背景や考え方や行動パターンを持つ人間たちが、一緒に旅をしていく中で衝突を繰り返すのだ。映画ジャンルとしては西部劇、形式としてはある場所から別の場所への移動を描くロードムービー、そして生き方も性格も正反対の男同士が互いを理解して深い絆を作り上げていくバディムービーだ。

 ラッセル・クロウ演じるベン・ウェイドが魅力的だ。武装強盗を繰り返して何の躊躇もなく人を撃ち殺し、時には仲間さえも射殺してしまう根っからの悪党。強面揃いの強盗団を統率するカリスマ的なリーダーであり、それでいて女性には優しく甘い言葉を語り、鉛筆でスケッチ画を楽しみ、子供の頃にたった1度だけ読んだことがあるという聖書を自由自在に引用してみせるずば抜けた頭のよさを持っている男。この男が強盗団の首領ではなく、小さな町の保安官でも務めていてくれたら、どれほど良かったかわからない。だが彼の不幸な生まれ育ちが、そうした道を歩むことを許さなかった。

 クリスチャン・ベイルもがんばって複雑なキャラクターを熱演しているのだが、彼が演じるダンという農夫より、ベン・フォスター演じる強盗団のナンバーツーや、ピーター・フォンダが貫禄たっぷりに演じた賞金稼ぎの方がキャラが立っているのは事実。結果としてダンの印象がかすんでしまった。

(原題:3:10 to Yuma)

8月8日公開予定 新宿ピカデリー
配給:シナジー 宣伝:フリーマン・オフィス
2007年|2時間2分|アメリカ|カラー|スコープサイズ|SRD
関連ホームページ:http://www.310-k.jp/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:3時10分、決断のとき
輸入Blu-ray:3:10 to Yuma (2007)
輸入DVD:3:10 to Yuma (2007)
輸入DVD:3:10 to Yuma (2007)
サントラCD:3:10 to Yuma
関連DVD:決断の3時10分(1957)
関連DVD:ジェームズ・マンゴールド監督
関連DVD:ラッセル・クロウ
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