アフロサムライ

2007/10/25 サンプルDVD
全編英語によるスタイリッシュなチャンバラ・アクション・アニメ。
製作総指揮はサミュエル・L・ジャクソン。by K. Hattori

 それは遠い過去、あるいは遠い未来……。「一番」の鉢巻きを締めた子連れのサムライが、「二番」の鉢巻きを締めたガンマンと決闘して敗れ去った。それから十数年。目の前で父親を殺された少年は「二番」の鉢巻きを締めて、次々襲いかかってくる刺客たちと戦いの日々に明け暮れていた。彼の名はアフロサムライ! この世界では「一番」の男だけが神のように世界を支配し、「二番」だけがその神に挑戦する権利を持っていた。腕に自慢の男たちは、頂点への道を求めて「二番」のアフロに挑む。だが彼もまた、復讐のため「一番」のガンマンに挑戦する機会を狙う、一人の刺客に過ぎないのだ。

 アーティストの岡崎能士がミニコミ誌に発表した同名コミックを、アメリカの大手ケーブルテレビ局スパイクTVが1話25分×5話のミニシリーズとして放送したアニメの劇場版だ。といってもこれは、ダイジェスト版や総集編というわけではない。25分が5話だと全部で125分だが、放送では1話ごとにオープニングやエンディングもある。各エピソードの最初と最後に多少のダブりもあるだろう。つまり上映時間116分というこの映画は、テレビ版をダイジェストしたわけではなく、映画用に再編集したものなのだ。

 アニメ制作は『ブレイブストーリー』のGONZOが担当。監督は『バジリスク/甲賀忍法帖』の木崎文智。しかしこの作品の見どころは、声優の豪華さだ。主人公アフロと相棒ニンジャニンジャの二役を担当しているのはサミュエル・L・ジャクソン。謎の美女お菊にはケリー・フー。宿敵のガンマン、ジャスティスにはロン・パールマン。アフロ役のサミュエル・L・ジャクソンは、本作の製作総指揮も担当している入れ込みようだ。彼が主演して、この映画の実写映画版を作る計画も進んでいるという。それがどの程度の本気度なのかはよくわからないが、アメリカでこの作品がかなりウケているのは事実らしく、アメリカのAmazonを「Afro Samurai」で検索するだけで関連グッズがかなり大量にヒットするのに驚いてしまった。

 全編英語で進行し、サムライも出てくればガンマンもありという世界観は、三池崇史の『SUKIYAKI WESTERN ジャンゴ』にも通じるデタラメさ。しかし『アフロサムライ』はそれに輪をかけて、ロケット砲もぶっ放せば、高性能のロボットも登場し、最後は神話的世界で主人公たちが一騎打ちして、世界全体の運命を決するという大風呂敷だ。ここにはもちろんマカロニウエスタンの影響もあるだろうが、それより勝新太郎の『座頭市』や若山富三郎の『子連れ狼』などのアクション時代劇の殺陣、「仮面の忍者赤影」のSFテイスト、『スター・ウォーズ』や『ビューティフル・マインド』のキャラクター設定など、さまざまな要素がぎっしりと埋め込まれている。これらを貪欲に飲み込んでしまう消化力こそが、この映画の面白さにつながっているのだろう。

(原題:Afro Samurai)

10月27日公開 シネマライズ
配給:トルネード・フィルム
2006年|1時間56分|日本、アメリカ|カラー|ビスタサイズ|ステレオ
関連ホームページ:http://www.afrosamurai.jp/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:アフロサムライ
DVD (Amazon.com):Afro Samurai (Director's Cut)
DVD (Amazon.com):Afro Samurai (Edited)
サントラCD:アフロサムライ
サントラCD:Afro Samurai [Explicit Lyrics]
サントラCD:Afro Samurai [Clean]
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