スパイダーマン3

2007/04/16 TOHOシネマズ六本木ヒルズ(スクリーン2)
内容盛りだくさんでお腹いっぱいになれるシリーズ第3弾。
3作目なので敵も3人。どれも手強い。by K. Hattori

 2002年に第1作が発表されて以来、これまで2作品がリリースされている人気シリーズの第3弾。覆面のヒーロー、スパイダーマンとしてニューヨークの人気者になっているピーター・パーカーだが、恋人メリー・ジェーン(MJ)との関係が今ひとつうまくいかない。人気急上昇のスパイダーマンに比べて、MJの女優業は伸び悩んでいる。やっと手に入れた舞台での主役も、劇評の悪さを受けてあっという間に交代させられてしまった。だがスパイダーマンである自分が街中からチヤホヤされていることに舞い上がっているピーターは、そんな彼女の気持ちを思いやることができないでいる。そんなピーターの前に、恐ろしい敵が立ちふさがる……。

 本シリーズも今回で完結かと思いきや、じつはまだ続きそうだということがわかった3作目だ。今回の映画には新キャラクターが登場。ブライス・ダラス・ハワードが演じるグウェン・ステイシーだ。原作シリーズでは、彼女はピーター・パーカーの恋人や妻という重要な位置を得ることになる。もっとも原作コミックは複数の物語やエピソードが併走しては、リセットしてまた同じキャラクターで似たような物語が何度も繰り返されている。アメコミの世界というのは、際限のないパラレルワールドなのだ。映画版『スパイダーマン』も、そんなパラレルワールドのひとつと言えるだろう。グウェンが今後のシリーズで大きなポジションをしめることは間違いない。しかしそれが、今後の物語展開にどんな影響を与えるのかは、まったくわからない。しかしグウェンの登場によって、本シリーズにさらなる続編が生まれることは間違いなさそうだ。

 1作目の映画ではグリーン・ゴブリン、2作目ではドクター・オクトパスと戦ったスパイダーマンだが、今回の映画では3人の強敵と戦う羽目になる。まずはピーターを父殺しの犯人だと思いこんでいる、2代目グリーン・ゴブリンことハリー・オズボーン。ピーターの伯父ベン・パーカーを殺した犯人でもあるサンドマン。そして宇宙から来た謎の生命体ヴェノムだ。こうして次々敵が襲ってくる展開に、ピーターとMJのロマンスや、ピーターとハリーの友情、そして新キャラのグウェン・ステイシーがからんでくる。これはかなり欲張りな構成だ。

 しかしこれによって個々のエピソードがぶつ切りになって、シリーズ1・2作目にあったような大きなドラマが成立しなくなっている弱点もある。過去2作と同じパターンになることをあえて避けたのかもしれないが、アクションにとどまらない人間ドラマがこのシリーズの持ち味だと思っていたので、今回はその点で物足りなさを感じる。ピーターと女性ふたりの三角関係も、新人のカメラマン、エディの野心と挫折も、ピーターが復讐心から解放されるエピソードも、もう少し掘り下げられたはずだ。案外この映画、DVDではそのあたりを補強したロングバージョンが発売されるのかも。

(原題:Spider-Man 3)

5月1日公開予定 日劇1、みゆき座ほか全国東宝洋画系
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2007年|2時間20分|アメリカ|カラー|シネマスコープ|DTS-ES、Dolby Digital EX、SDDS
関連ホームページ:http://www.sonypictures.jp/movies/spider-man3/
DVD:スパイダーマン3
サントラCD:スパイダーマン3
サントラCD:スパイダーマン3
サントラCD:Spider-Man 3: Music from and Inspired By
関連DVD:スパイダーマン・シリーズ
関連DVD:サム・ライミ監督
関連DVD:トビー・マグワイア
関連DVD:キルスティン・ダンスト
関連DVD:ジェームズ・フランコ
ホームページ
ホームページへ