ミーン・ガールズ

2005/2/7 UIP試写室
学校の意地悪女をやりこめようとしたら自分が意地悪に!
話はつまらなくないけど、なんだか不愉快。by K. Hattori

 両親の仕事の都合で幼い頃からアフリカで過ごしてきたケイディは、16歳になって初めてアメリカの高校に通い始める。その学校ではドールズと呼ばれる3人組の美人女子学生たちが、他の生徒たちからカリスマ視されていた。ケイディはなぜか彼女たちのリーダー格レジーナに気に入られ、グループの一員に招かれる。ところがレジーナはとんでもない性悪女。それを思い知らされたケイディは、同じように以前レジーナに酷い目にあわされたジャニスと共に、彼女に復讐しようとするのだが……。

 主演は『フォーチュン・クッキー』のリンジー・ローハン。人気はあるが性格が極悪のレジーナを演じるのは、『きみに読む物語』のレイチェル・マクアダムス。学校内の過酷なヒエラルキーを暴露したよくある学園ドラマだが、映画のあちこちに皮肉と意地悪のスパイスを効かせたエピソードが盛り込まれ、それが観ている側をニヤリとさせる。ただしこの笑いは、決して気持ちのいいものではない。ブラックユーモアと呼ぶにしてはあまりにも底意地が悪く、笑いながらもその後に不快感が残るのだ。

 これはストーリーではなく、映画の味付けに問題があるのだと思う。意地悪な女の子グループをリサーチしていたら、ミイラ取りがミイラになって自分も意地悪な女の子になってしまいました……というお話も意地悪なもの。しかしそれよりも意地が悪いのは、登場する女の子たちを本当に意地悪な視点で見ている作り手の姿勢だ。映画の中に学校の様子を動物園に例える場面があるが、この映画の作り手は主人公とドールズの係わり合いも、まるで野生の猿がボスの座を争っているかのように描き出す。その手練手管の鮮やかさには感心するが、その描き方には愛情が感じられない。主人公に好きな男の子ができても、それは「恋愛」というより「発情」であるかのように描かれる。

 主演のリンジー・ローハンは他のドールズたちに比べると体格が立派で、一時期のアリシア・シルヴァーストーンを連想させる。彼女がドールズたちに用意周到な復習をするシーンは、ブルドーザーがつながれた犬をひき殺すに等しい反則技に見えてしまう。このヒロインはもう少し体の線が細い女優が演じないと、弱者が策略を使って強者に一泡吹かせる面白みが伝わらない。のび太がドラえもんの知恵と道具でジャイアンやスネオに復讐するのは見ていて楽しいけど、ジャイアンがスネオと組んでのび太を虐待するのはただのイジメ。これは観ていても笑えない。

 映画全体は娯楽仕立てだし、映画は娯楽の枠をはみ出していないので、映画を観ても「なんだか嫌な感じだな」という以上の感想は持たないが、心の底から楽しめないのは確かだ。見どころはレジーナ役のレイチェル・マクアダムスが、『きみに読む物語』とはまるで違う役を演じて女優としての幅を見せ付けてくれたことぐらいかな。

(原題:Mean Girls)

3月5日公開予定 テアトルタイムズスクエア
配給:UIP
2004年|1時間37分|アメリカ|カラー|ビスタ|DTS、SRD、SR
関連ホームページ:http://www.uipjapan.com/meangirls/
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