日本製テレビゲームを原作とした、アクション・ホラー映画のパート2。前作に引き続いて、主演はミラ・ジョヴォヴィッチ。続編製作まで2年の歳月が流れているのだが、映画は前作の終了直後から始まる。地下研究施設ハイブから逃げ出したアリスは謎の男たちに捕らえられ眠りにつくが、再び目覚めた彼女が観たのはゾンビたちに襲われ廃墟となった街だった。今回の映画も前作同様の脱出劇だが、その規模は地下の研究施設から、地上に広がるひとつの都市全体に広がった。登場人物も警官や兵士に一般市民まで広がりが出てストーリー展開も複雑になったのだが、それがあまり面白さにはつながっていないのは残念だ。
脚本は前作と同じポール・W・S・アンダーソンだが、監督はアレクサンダー・ウィットに交代。(本作の監督を断ったアンダーソン監督は、かわりに『エイリアンVS.プレデター』に取り組んでいる。)監督交代で演出のタッチが変わった部分もあるだろうが、それ以上に、今回は脚本そのものに問題があるように見えた。一直線に出口を目指す前作のスピード感が失われ、物語の矛先が最後まで右往左往しているように思えてならないのだ。脱出のために、まず街に取り残された少女を救出しなければならないという段取りが回りくどい。脱出メンバーが全員揃うまでに時間がかかりすぎる。ボスキャラ(?)であるネメシスの扱いが中途半端で、最後のタイマン勝負に至っては「お前らはこの期に及んで何をしているのだ?」と思わずにいられない。
前作では登場する主要人物を映画の序盤にすべて出してしまい、その上でそれぞれのキャラクターに見せ場を作っていた。今回はそれと違うパターンでストーリーを組み立てようとしたのかもしれないが、結局は各エピソードのまとまりがないまま、観客の視点を分散させてしまっただけに思える。
アリスのキャラクターにある秘密を与えることで、ワイヤーやデジタル合成を多用した人間離れしたアクションを成立させているのはひとつの工夫だろう。しかし彼女を特別扱いすることで物語の興をそいでしまったのも確かだと思う。アクション映画の中で、生身の人間が人間離れしたアクションを演じるのは面白い。しかし人間でないもの(なのかな?)が人間離れしたアクションを演じても、それに観客は感情移入しきれないのではなかろうか。この映画で持ち込まれた秘密は、単に絶体絶命の危険からヒロインを助けるための便利な設定に納まっている。この便利さを突き抜けて、この設定なしには味わえない新しい興奮を作り出せればよかったのだけれど。
何にせよ、どうやら映画はパート3に続くらしい。次はさらにドラマ世界の規模が広がり、さらに登場人物が増えるのだろう。そこで観客が興奮できる何かが得られるかどうかは、ミラ・ジョヴォヴィッチの脱ぎっぷりではなく、脚本のできにかかっていると思う。
(原題:Resident Evil: Apocalypse)