キューティーハニー

2004/03/26 ワーナー試写室
70年代のスーパーヒロインが実写で映画化された。
これは楽しい。ぜひ続編を作ってほしい。by K. Hattori

 マンガやアニメでお馴染みの「キューティーハニー」を、『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野秀明監督が実写映画化。主人公の女性アンドロイド、キューティーハニーを演じるのは佐藤江梨子、ハニーの正体を探ろうとする女性刑事・秋夏子に市川実日子、ハニーを助ける謎の新聞記者・早見青児を村上淳が演じている。

 科学者の宇津木博士が誘拐された。誘拐犯はパンサークローと名乗る謎の犯罪結社。そこで人質の博士を助け出し、捜査の指揮官、秋夏子警部を助けたのがキューティーハニーだった。ハニーとは一体誰なのか? その正体は、今はなき天才科学者・如月博士が作り出した女性型アンドロイド。普段は冴えないOLに身を隠しているが、ひとたびチョーカーに仕込まれたIシステムの働かせれば、彼女はどんな姿にでも変身し、超人的な力を発揮することができるのだ。

 とにかくカラフルな映画だ。ハニーや怪人たちのコスチュームがカラフルということもあるが、登場人物の性格付けもどぎついほどに極端で個性豊か。おとぼけ屋で人なつこいハニー、いつも仏頂面の夏子、キザな青児という主役三人の個性が光っている。パンサークロー四天王も個性たっぷりで、この映画で一度に殺してしまうのがもったいないような顔ぶればかり。物語は1時間半の上映時間を埋める程度にシンプルにとどめられ、そこにアニメがあったり、ミニチュア特撮があったり、CGがあったり、多種多彩な映像のお遊びが詰め込まれている。

 パンサークローの首領シスター・ジルを演じる篠井英介、凄腕の執事に手塚とおる、四天王に片桐はいり、小日向しえ、新谷真弓、及川光博といった顔ぶれはじつに豪華。スタッフにも、アニメ、コミック、ファッション、映画などの世界から様々な才能が寄り集まって、『キューティーハニー』の世界を好き勝手にいじくりまくっている。

 寄ってたかって徹底したバカバカしさを追求した結果、バカを通り越して「カッコイイ!!」に到達したのがこの映画だと思う。人物をコマ撮りしてアニメ風に演出する“ハニメーション”が成功しているとは思えないが、こうした実験を違和感なく受け止めてしまうだけの大きさと力強さが、この『キューティーハニー』という映画には備わっているのだ。

 佐藤江梨子に女優としてもタレントとしてもまったく魅力を感じない僕だが、今回のハニー役はうまくはまっていたと思う。それにカメラに向かって胸やおしりを強調する挑発的なポーズを取るなど、売れっ子でもまったく気取ったところがないのがいい。

 キャラクターに魅力のある映画に仕上がっているので、主要キャストをそのままにした続編が作られることを希望したい。僕はハニーより、秋夏子や早見青児にまた会いたいのですけどね……。パンサークロー四天王も格好良かったので、同じコンセプトでテレビ版を作ってもいいかもね。

5月29日公開予定 渋谷東急他・全国松竹東急系
配給:ワーナー・ブラザース映画
2004年|1時間33分|日本|カラー|ビスタサイズ|SRD
関連ホームページ:http://www.cutiehoney.com/
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