ワイルド・スピードX2

2003/10/01 ニュー東宝シネマ
カーアクション映画『ワイルド・スピード』の続編。
主人公以外は全面リニューアル。by K. Hattori

 ポール・ウォーカーとヴィン・ディーゼルが主演した『ワイルド・スピード』は、バリバリにチューンナップした自動車レースの世界と潜入捜査官ものをドッキングさせた異色のアクション映画だった。今回の映画はその続編。「潜入捜査官が猛スピードで車をぶっ飛ばす!」というコンセプトと主演のポール・ウォーカーだけを残して、その他の要素は見事に一新してしまった。監督もロブ・コーエンからジョン・シングルトンにバトンタッチして、映画の雰囲気自体が前作とは違ったものになっていると思う。

 前作の事件でロス警察をクビになってしまった主人公ブライアンは、フロリダに移って本格的なストリートレーサーになっていた。そんな彼に目を付けたのは、フロリダで大規模なマネーロンダリング事件を捜査している警察と税関だった。容疑者カーターが凄腕のドライバーを捜していると知った捜査当局は、ブライアンを運転手としてカーターのもとに送り込もうとする。協力すれば過去の事件は不問にするというのが条件だ。ブライアンは幼なじみのピアースを相棒にすることを条件に、渋々ながら新たな潜入捜査に協力することにした。だがピアースは車泥棒の罪で3年間刑務所に入れられており、現在もまだ仮釈放の身。警官になったブライアンを「俺をパクった裏切り者だ!」とひどく恨んでいた。

 前作には主人公の成長や意識の変化という内面的なドラマがあったが、今回の映画にそうした要素はまったくない。そこで出てきたのが幼なじみとの確執と和解というドラマだが、これはあまりにもおきまりの展開でやや単調。主人公たちが和解し、与えられたミッションを最後までやり通すことなど観客は百も承知だから、この程度のドラマでは面白くもおかしくもない。しかしこうしたおきまりの展開を用意し、その上に派手なカーアクションを乗せていくのが今回の映画の狙いなのかもしれない。そのためこの映画では、物語の上で余計なことに欲を出していない。主人公と女性捜査官のからみなどは、深入りせずにあっさりと打ち切ってしまうのだ。

 見所は劇中に何度か出てくるカーレースだろう。ほとんどCGを使って作られたと思われるこれらのシーンは、ほとんどゲーム感覚。あるいは日本の人気アニメ『頭文字〈イニシャル〉D』だろうか。映画のエンドクレジットを観ると、映画の作り手もゲームやアニメを強く意識していることがわかる。ただしすべてがCGというわけではなく、クラッシュシーンなどでは本物の車を派手にぶっ壊しているようだ。車がぶっ壊されるシーンというのは、どういうワケか男心をくすぐるのだなぁ……。

 ヴィン・ディーゼルが抜けた穴をタイリース・ギブソンが埋めているのだが、やはりそこには埋めきれないものが……。前作の後日談として楽しい映画にはなっているけれど、これ以上シリーズとして引っ張るのは無理だろうなぁ。

(原題:2 FAST 2 FURIOUS)

8月23日公開 ニュー東宝シネマ他・全国東宝洋画系
配給:UIP
(2003年|1時間48分|アメリカ)
ホームページ:
http://www.uipjapan.com/wildspeedx2/

DVD:ワイルド・スピードX2
サントラCD:ワイルド・スピードX2
サントラCD:2 FAST 2 FURIOUS
輸入ビデオ:2 FAST 2 FURIOUS
前作DVD:ワイルド・スピード
関連DVD:ジョン・シングルトン監督
関連DVD:ポール・ウォーカー
DVD:タイリース・ギブソン

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