10日間で男を上手にフル方法

2003/09/11 シャンテ・シネ1
ケイト・ハドソンとマシュー・マコノヒー主演のラブコメディ。
脚本と演出の巧みさに惚れ惚れとさせられた。by K. Hattori

 人気女性誌でハウツー記事を担当しているアンディは、恋人との関係が長続きせずに悩んでいる女性のために、反面教師となる体験取材記事を企画する。編集長が付けたタイトルはずばり「10日間で男を上手にフル方法」。アンディは記事執筆のネタにするため、10日以内でバイバイできるバカ男を捜し始める。同じ頃、広告代理店で社内の女性チームから大手クライアントの仕事を奪おうとしていたベンは、10日後のパーティで女性チームが指名した女性を恋人として同伴すれば仕事を譲ってもらえることになる。そこで指名された相手はもちろんアンディ。ふたりは互いの本当の目的を知らないまま声を掛け合い、「これは願ったりかなったりだ」と内心ほくそえむ。こうして10日以内にベンに嫌われようとあの手この手を繰り出すアンディと、どんなことがあろうと10日後のパーティまで絶対に彼女と別れまいとするベンの交際が始まったのだが……。

 ヒロインのアンディを演じるのは、『あの頃ペニー・レインと』のケイト・ハドソン。ベンを演じるのはマシュー・マコノヒー。ミッシェル・アレグザンダーとジェニー・ロングのハウツー本「10日で彼にフラれる方法―これをやったら嫌われる!」を、『102』のクリステン・バックリーとブライアン・リーガンやバー・スティアーズが脚本にまとめ、『デンジャラス・ビューティー』のドナルド・ペトリが監督している。

 そもそもこのお話、最初の設定に相当な無理がある。「こうすれば恋人は去っていく」という決定的な方法を何通りか試すためには、何人もの男性を記事ネタとして確保する必要がある。これではどんな凄腕でも、10日間で数例しかサンプルを集められないのではなかろうか。また広告業界がどんなにヘンテコな世界だとしても、10日以内に見ず知らずの女性を恋人にするかどうかで仕事を決めるのも無茶苦茶だ。しかしこの映画はその無理や無茶をあまり感じさせず、すんなりと無理や無茶を成立させてしまう。観客にウソを気取られないイカサマこそが映画の醍醐味だが、この映画の作り手たちが見せる手並みのじつに見事なこと! あれよあれよという間に状況が整っていく様子は、名人の手品を見せられているようでした。

 何をやっても愛想づかしをしないベンを前にして、次々と「男が嫌う行為」に磨きがかかりエスカレートしていくアンディ。女性にありがちな失敗や勇み足をわざと演出するところから始まり、行為はどんどん過激で奇妙奇天烈なものへとヒートアップ。これがもう、観ていて面白くってしかたがない。主人公たちの台詞のやり取り、友人たちのキャラクターなど、細部までよく気が配られている脚本と演出に頬がゆるみっぱなし。最初から最後まで観客の期待を裏切らない、いい意味での予定調和が快感になるラブコメディ。こういう映画が、もっとたくさん観たいなぁ……。

(原題:How to Lose a Guy in 10 Days)

8月9日公開 シャンテ・シネ
配給:UIP
(2003年|1時間56分|アメリカ)
ホームページ:
http://www.uipjapan.com/10days/

DVD:10日間で男を上手にフル方法
サントラCD:10日間で男を上手にフル方法
サントラCD:How to Lose a Guy in 10 Days
原作:10日で彼にフラれる方法―これをやったら嫌われる!
原作洋書:How to Lose a Guy in 10 Days
輸入ビデオ:How to Lose a Guy in 10 Days
関連DVD:ドナルド・ペトリ監督 (2) (3)
関連DVD:ケイト・ハドソン
関連DVD:マシュー・マコノヒー

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