サンダーパンツ!

2003/08/13 GAGA試写室
オナラに悩み続けた少年が親友の発明で世界のヒーローに。
バカな思い付きをここまで立派な映画にするとは!by K. Hattori

 イギリスで暮らす平凡な小学生パトリック・スマッシュは、これといった取り得のない平凡な少年だ。取り得はないけど欠点はある。それは年がら年中ブーブー出て止まらないオナラ。その量もニオイもちょっと半端じゃない。まだ赤ん坊だったパトリックのオナラのせいで父親はノイローゼになり、ついに家を飛び出していってしまったほどだ。おかげで姉は弟を恨み、母親はアル中になってしまった。オナラのせいで家族にまで疎まれるようになってしまった彼が、学校で人気者になるはずもない。入学早々ついたあだ名は「屁こき虫」。家庭でも学校でも、彼は文字通りの鼻つまみ者なのだ。だがそんな彼にもたったひとりの親友がいた。それは同じクラスの天才発明家(自称)アラン・A・アレン。生まれつき嗅覚がないアランは、パトリックのオナラもまるで気にしない。頼りになるアランは持ち前の発明の才を生かして、パトリックのオナラが外に漏れないように特殊なパンツを作ってくれた。名づけてサンダーパンツ!

 監督は『ハロルド・スミスに何が起こったか?』のピーター・ヒューイット。とにかく最初から最後まで「オナラ」の連続。少年とオナラの映画としては小津安二郎の『おはよう』があるけれど、あれとて全編がオナラで埋め尽くされているわけではない。とにかく最初から最後までオナラで押し通したのは、この映画が初めてではないだろうか。

 劇中に登場するサンダーパンツは1号から3号まであり、1号はガス漏れ防止機能のみ、2号はガスを使ってホバークラフトが飛行し、3号に至っては巨大ロケットが宇宙まで飛んでいく。なんてバカバカしいんでしょう! でもこのバカな話を、大真面目に、丁寧に、格調高く映画化しているのがすごい。オナラはおそらく世界のどこに行っても品のない汚いものと思われるだろうが、この映画はそのネタをファンタジー映画のモチーフにするという離れ業に挑戦し、見事に成功していると思う。ちなみに「サンダーパンツ」という名前は、きっと「サンダーバード」から取ってきたんだと思う。(監督のピーター・ヒューイットがこの話を思いついた時、同時に企画していたのが『サンダーバード』の実写版なのだ。)

 主人公パトリックを演じるのは新人のブルース・クック。親友アランを演じているのは、『ハリー・ポッター』シリーズでロン・ウィーズリーを演じているルパート・グリント。他にもポール・ジアマッティやネッド・ビーティ、スティーヴン・フライ、サイモン・キャロウなど、ベテランの俳優たちががっちりと脇を固めている。

 子供が観て喜びそうな映画なので、本当なら日本語吹き替え版を作って劇場公開してほしいところ。子供は「オナラ」や「ウンチ」の話が大好きだから、これは絶対にゲラゲラ笑って楽しむと思う。でもこの規模の映画だと、劇場向けに日本語のプリントを作るとは思えない。ちょっと残念だ。

(原題:Thunderpants)

10月公開予定 シネ・アミューズ
配給:ギャガ・コミュニケーションズ・Gシネマグループ
宣伝:ギャガGシネマ風、skip
(2002年|1時間27分|イギリス)
ホームページ:
http://www.gaga.ne.jp/

Amazon.co.jp アソシエイト

DVD:サンダーパンツ!
関連DVD:ピーター・ヒューイット監督
関連DVD:ルパート・グリント
関連DVD:ブルース・クック
関連DVD:ポール・ジアマッティ (2)

ホームページ

ホームページへ