コンフェッション

2003/07/18 GAGA試写室
人気テレビ番組のプロデューサーはCIAの殺し屋だった。なんと実話?
ジョージ・クルーニーの初監督作品。面白い。by K. Hattori

 1960年代から「デート・ゲーム」「新婚ゲーム」「ゴング・ショー」など数多くのヒット番組を生み出したテレビ・プロデューサー、チャック・バリスの自伝「Confessions of a Dangerous Mind」(日本語版は「コンフェッション」)を、俳優のジョージ・クルーニーが映画化したサスペンスドラマ。「人はみな飾って言う」とは山本夏彦の至言だが、有名人の自伝には多かれ少なかれ脚色や潤色がつきもの。読む人はそれを意識しながら、時としてそれを割引き、あるいは眉につばをつけながら本人の語る華麗なる人生の歩みを読むものだ。ところがバリスの自伝は、そんな通常の自伝の常識をくつがえすとんでもない代物だった。なんと彼はテレビ番組のプロデュースをするかたわら、CIAの工作員として世界中を飛び回る殺し屋でもあったというのだ!

 映画はこの荒唐無稽な物語を、ウソともホントとも決め付けぬまま映像化している。映画の見どころはふたつある。ひとつは1960年代から70年代のテレビ局や番組制作の裏側が、丁寧に再現されている部分。もうひとつは殺し屋同士が決死の駆け引きを繰り広げる、スパイ映画としての面白さだ。映画の中ではこのふたつの要素が、見事に融合している。映画に登場するチャック・バリスは、何の違和感もなく番組プロデューサーと殺し屋の間を行ったり来たりするのだ。これはテレビ番組のプロデューサーという職種自体が、ある意味では普通の日常から逸脱したヤクザな稼業だからかもしれない。

 主人公チャック・バリスを演じるのは、『キャメロット・ガーデンの少女』や『グリーンマイル』『ウェルカム・トゥ・コリンウッド』のサム・ロックウェル。映画ファンには馴染みの顔だが、大作の主演はこれが初めてだ。恋人役のドリュー・バリモア、同僚工作員兼愛人役のジュリア・ロバーツ、貫禄たっぷりのルトガー・ハウアーなどに囲まれて、まったく存在感で引けを取らないのだから大したものだ。監督のジョージ・クルーニーはCIA工作員というオイシイ役で出演も兼ねている。脚本は『マルコヴィッチの穴』『ヒューマンネイチュア』のチャーリー・カウフマン。製作総指揮は『アウト・オブ・サイト』以降クルーニーと仕事することが多いスティーヴン・ソダーバーグ。

 おちゃらけたコメディ映画にしてしまうこともできる話だと思うのだが、それを大真面目に正攻法でサスペンス映画として成り立たせ、しかも綿密な時代考証や豪華キャストで、ボリューム感のある映画に仕上げている上手さ。しかしこの映画、基本的には暗い物語なのだ。売れっ子プロデューサーが批判を受けて没落していく話であり、世界を飛び回って暗殺行脚を続けた殺し屋が挫折する話でもある。しかしその暗い話に明るい光を当てるのが、ペニー役のドリュー・バリモア。今回は彼女の演技力に参りました。助演女優賞ものです。

(原題:Confessions of a Dangerous Mind)

8月16日公開予定 丸の内ピカデリー2他・全国松竹東急系
配給:ギャガ・ヒューマックス共同配給
(2002年|1時間53分|アメリカ)
ホームページ:
http://www.confession.jp/

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DVD:コンフェッション
原作:コンフェッション(チャック・バリス)
原作洋書:Confessions of a Dangerous Mind
サントラCD:コンフェッション
サントラCD:Confessions of a Dangerous Mind
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