ブルー・エンカウンター

2003/05/09 TCC試写室
アンディ・ラウがエイリアン同士の争いに巻き込まれる。
香港映画版の『MIB』みたいなものかなぁ。by K. Hattori

 国連の地球外生物分析室(AAA)に勤務するウェズリーは、情報収集に利用しているサンフランシスコの骨董屋でひとりの美しい女性に出会う。骨董屋が売りつけようとしている「異星人の手首の骨」を彼女に譲ったウェズリーは、その直後、モンスターに襲われた絶体絶命のピンチを彼女に助けられた。混濁した意識の中で、ウェズリーは自分が数10年前に彼女の姿を見たことを思い出す。彼女は今とまったく同じ姿で、青い血を流していたっけ……。やがて再び彼女と接触したウェズリーは、彼女が“青い星”からやってきた異星人であることを知る。彼女の故郷の青い星は凶暴なワーロック星人に占領され、彼女は弟と一緒に故郷を救う力を持つ聖典を探す旅に出たのだとう。聖典は無事に手に入れたが、彼女の弟は地球で行方不明になった。やがてワーロック星人たちは、彼女から聖典を奪うために地球にやってきた。

 香港の人気SF作家ニー・クァンの「ウェズリー・シリーズ」を、アンディ・ラウ主演で映画化したSFファンタジー映画。同じシリーズは過去に何度か映画化されているというが、そのつど出演者や設定が少しずつ変わるようだ。今回の映画は『MIB』と『コクーン』を合わせたような冒険活劇。青い星から来た美女フォン・ティンガイを、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』シリーズのロザムンド・クワンが演じる他、FBI捜査官のバ・ソウ役にスー・チー、その兄バ・ケイワイ役に『ザ・ミッション/非情の掟』のロイ・チョンという豪華キャスト。登場人物が異性人も含めて全員中国系なのに、舞台はわざわざサンフランシスコになっているという大作なのだ。監督は『古惑仔』シリーズや『風雲/ストームライダーズ』のアンドリュー・ラウ。

 主人公のウェズリーは一応AAAという組織に属している設定だが、この組織の他の構成メンバーは映画に登場せず、彼がたったひとりでFBIと渡り合い、異星人同士の争いに巻き込まれていくという話になっている。映画の語り口は一人称。ニヒルな一匹狼のプロフェッショナルが、謎めいた女と知り合うことで事件に深くかかわり、やがて彼女と深く心を通わせるようになるのだが、そこに強力な敵が現れて……というハードボイルド調のドラマ。しかしサンフランシスコで香港映画のスタッフとキャストが『MIB』を作るという無茶なコンセプトが、シリアスなハードボイルドタッチとうまくマッチするはずもない。出来上がったものは、思い切りB級のチープな活劇映画になっている。

 しかしこの映画のよさは、下手にA級の大作を目指さなかったことだろう。バリー・ウォンをコメディリリーフで登場させるなど、随所に「もう笑っちゃってください!」という作り手側からの観客サービスがある。「ロザムンド・クワンがきれいだなぁ」とか、「スー・チーがかわいいなぁ」とか、そういうレベルで楽しむ映画だと思う。

(原題:衛斯理藍血人 The Wesley's Mysterious File)

2003年6月7日公開予定 キネカ大森
配給:マクザム
(2002年|1時間27分|香港)
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