ブルークラッシュ

2003/04/01 GAGA試写室
ヒロインがプロ・サーファーを目指すサーフィン版『フラッシュダンス』。
サーフィン場面の撮影だけでも一見の価値がある。by K. Hattori

 サーファーたちの聖地、ハワイ・オアフ島のノースショア。そこでは世界最高レベルのサーフィン大会、パイプ・ライン・マスターズが開かれている。地元の若い女性サーファーであるアン・マリーは、間もなく開催される大会で優勝してプロになるのが夢だ。だが3年前の大会で波に巻かれて重症を負った恐怖が、彼女の体をすくみあがらせている。大会は目前なのに、大きな波を目の前にするとどうしても体が動かないのだ。そんな時、彼女が働くホテルにNFLの選手たちがやってくる。花形選手のマットにサーフィンを教えることで彼と親しくなり、やがて恋に落ちたアン。このままサーフィンなんて投げ出して、彼についていくのも悪くないかも……。

 この映画を一言で表現するなら、サーフィン版『フラッシュダンス』と呼ぶのがふさわしい。貧しい労働者階級のヒロインが、仲間たちに後押しされながら自分の夢に向かって進んでいく。金持ちのボーイフレンドができて心が揺れ動くけど、最後は自分の力を信じて恐怖に打ち勝ち夢を実現させる! 『フラッシュダンス』同様、この映画もストーリーは陳腐だと思う。あらかじめ決められたお膳立てどおりに物語は進行し、あっと驚くどんでん返しや意外な展開はほとんど存在しない。しかしそれでも、この映画はめちゃくちゃに面白い。猛烈にスリリングだ。それは映画に登場するサーフィンが、間違いなく本物だからだろう。考えてみりゃ『フラッシュダンス』だって、ダンスシーンや音楽を抜いてしまえば目も当てられない映画なわけで、それはこの『ブルークラッシュ』も同じ。この映画はヒロインのドラマ以上に、サーフィンこそが主役なのだ!

 主人公のアン・マリーを演じたのは、『モンタナの風に抱かれて』や『タイタンズを忘れない』に出演していたというケイト・ボスワース。友人エデンの役にミシェル・ロドリゲス。同じく友人レナ役には、ハワイ出身のプロサーファー、サノー・レイク。他のキャストもほとんど無名の人たちばかり。俳優のネームバリューで客を呼ぼうとする映画ではなく、映画自体が持つ面白さで客をひきつけようとするのがこの映画だ。主演のボスワースは撮影前も撮影中もサーフィンの特訓を行い、多くのシーンで自分自身でサーフィンをしているようだ。スタントを担当したのはロチェリー・バラードとミーガン・アブボ。他にも多くの女性プロサーファーが、映画に出演している。

 この映画の最大の見所は、なんといってもサーフィンのシーン。水中撮影のベテランで『エクストリーム』や『キャスト・アウェイ』の撮影にも参加したドン・キングが、水面すれすれから波の中にまでもぐるダイナミックなキャメラワークを見せる。波に乗るサーファーと数十センチですれ違うスピード感。渦を巻く波の中にカメラごと突っ込んでいく迫力。こうした場面は作り事ではない本物だけに、見ていてドキドキしてしまった。

(英題:Blue Crush)

2003年初夏公開予定 シネクイント
配給:ギャガGシネマ 宣伝:ギャガGシネマ、オフィス・エイト
(2002年|1時間44分|アメリカ)
ホームページ:
http://www.gaga.ne.jp/

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DVD:ブルークラッシュ
サントラCD:BLUE CRUSH|BLUE CRUSH
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