オースティン・パワーズ
ゴールドメンバー

2002/07/26 GAGA試写室
マイク・マイヤーズが一人四役にチャレンジした人気シリーズ第3弾。
言葉を使ったギャグが多く、字幕では面白さも半減。by K. Hattori

 マイク・マイヤーズ主演の人気スパイ・コメディ・シリーズ第3弾。シリーズ映画の楽しみは、いつもお馴染みの顔ぶれが同じように登場してくれることにある。シリーズ3作目となるこの映画は、そうした観客の要求をきちんと押えた作りになっている。だが「お馴染みの顔ぶれが同じように」というのは、映画がマンネリ化していくということでもある。シリーズ映画の強みは、そのままシリーズ映画の足枷にもなるのだ。これはすべてのシリーズ映画の宿命。それを回避するため、シリーズ映画は作品ごとにゲストスターを登場させたり、マドンナタイプの女優を次々入れ替えて変化を出したり、主人公が出かける場所を変えたりして変化を生み出そうとする。こうした工夫は『寅さん』だろうが『釣りバカ』だろうが『オースティン・パワーズ』だろうが変わらない。

 今回の『オースティン・パワーズ』では、ゲストスターとして名優マイケル・ケインを登場させ、マドンナ役にはビヨンセを招き、主人公たちの目的地をディスコ全盛の1975年に設定している。でもこの映画の場合、こうした「シリーズ映画の定石」そのものをパロディ対象にしている気配がする。この映画では何から何まで、徹底してパロディの対象になる。第1作目では古今のスパイ映画をパロディにしていたわけだが、シリーズがヒットしたことで『オースティン・パワーズ』という映画自体もパロディ対象になってしまった。

 パロディ映画が放つ強烈な毒気をさらに引用してパロディにするのだから、これはもう完全な自家中毒状態。ギャグによって物語の枠組みそのものを壊していく勢いはまったく止まらなくなり、もはやどん詰まりに達してる。たとえこの映画がヒットしたとしても、この調子で4作目を作るのは難しいと思う。

 今回の映画は導入部から10分ぐらいが強烈に面白く、シリーズ3作通しても最高傑作になる予感を漂わせる。だが映画は中盤から一気にだれてくる。これは台詞を使ったギャグが増えているからだ。双子の日本人姉妹ぐらいまではお付合いできても、それ以降はもうまったくダメ。英語の駄洒落を日本語の駄洒落に置き換え、それを読ませて笑いを取るのは難しかろう。日本語の台詞を英語字幕に置き換えていくというギャグなど、英訳された台詞にさらに日本語の字幕がかぶさって、もう何がなんだかわからない状態。このあたりでギャグに置いてけぼりを食ってしまうと、最後まで笑いから取り残されてしまう。

 なんだかんだ言って、一番楽しいのはカメオ出演の大スターたちだったりする。なぜこれが楽しいかというと、このシークエンスだけは他と独立してまとまっているし、ギャグの狙いもスッキリとわかりやすいからだろう。ここは腹抱えて大笑いできます。誰がどんな役で出ているのか、観客に絶対にわかる仕組みになっているのもアイデア賞もの。エンドロールも楽しいです。

(原題:AUSTIN POWERS IN GOLDMEMBER)

2002年8月下旬公開予定 渋谷東急他・全国松竹東急系
配給:ギャガ・ヒューマックス共同配給
(2002年|1時間35分|アメリカ)

ホームページ:http://www.austinpowers-gold.jp/

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