スコーピオン・キング

2002/06/27 渋東シネタワー4
『ハムナプトラ』シリーズ生まれたアクション・アドベンチャー映画。
人気プロレスラーのロック様がスクリーンで大暴れ。by K. Hattori

 今から5千年ほど前の古代オリエント世界。ゴモラの王メムノーンは強大な武力と予言者の力でみるみるうちに近隣部族を打ち破り、オリエント一帯を支配する強大な独裁者に上り詰めようとしていた。その暴政を嫌う部族の王たちは、勇猛果敢なアッカド人の戦士マサイアスをメムノーン暗殺に差し向ける。だが裏切り者の内通で、マサイアスは王の暗殺に失敗。かわりに女予言者カサンドラをさらって、砂漠へと脱出する策に出た。メムノーンが自らカサンドラを奪回に来たところで、彼を返り討ちにしようするマサイアスだったが……。

 『ハムナプトラ2/黄金のピラミッド』の敵役キャラ、スコーピオン・キングを主役にしたアクション・アドベンチャー映画。主演はWWF(現WWE)の人気レスラーで、『ハムナプトラ2』でも同じ役を演じていたザ・ロック。スコーピオン・キングがあれほど魅力的なキャラクターになり得たのは、演じていたロックの魅力によるところ大きい。今回の映画は『ハムナプトラ2』のキャラ云々というより、同じような世界観の中で、ザ・ロック主演のヒーロー映画を作るというのが出発点になったのだろう。

 今回ザ・ロックが演じているのは悪役ではなく、残酷な暴君にたったひとりで挑むヒーローだ。主人公のアッカド人の戦士マサイアスは暴虐非道な王メムノーンを倒し、砂漠を支配する偉大な王スコーピオン・キングとなる。高貴な一族の末裔が、卑俗な殺し屋の身分から多くの人に助けられながら偉大な王へと成長していくのだから、これは典型的な貴種流離譚の構造だ。この古典的なストーリーを語るのに、最新のデジタル特殊効果は不似合い。この映画では『ハムナプトラ』シリーズの売りのひとつだったCGが最低限に抑えられ、かわりに肉体を使った古典的アクションがふんだんに盛り込まれている。

 この映画の見どころは、古代の戦士マサイアスを演じたザ・ロックの肉体美だ。鍛え上げられた筋肉の敏捷な動きと躍動感が、物語の古くささや単調さを吹き飛ばしてドラマに説得力を持たせてしまう。それは『コナン・ザ・グレート』の頃のアーノルド・シュワルツェネッガーを彷彿とさせるが、表情の豊かさという点で、ザ・ロックはシュワルツェネッガー以上の逸材だろう。優れた脚本と演出家がいれば、21世紀最初の肉体派アクションスターになれる俳優だ。問題は今回の映画のあとに、どんな映画に出演するかだろう。

 今回の映画は準備期間が短かったせいか、脚本にあまりひねりがないのは残念。5カ国語を喋れると豪語する馬泥棒や発明家のじいさまも使い方が悪いし、主人公を手助けする他部族の戦士たちやコソドロの少年も、ただ出てきただけで活躍の場があまりなかったように思う。よかったのはヒロインのカサンドラ。演じているケリー・ヒューはかわいいし、露出度の高さにも関わらず肝心なところは決して見せない衣装も男心をそそる。

(原題:THE SCORPION KING)

2002年6月8日公開 日劇3他・全国東宝洋画系
配給:UIP
(2002年|1時間32分|アメリカ)

ホームページ:http://scorpionking.lycos.co.jp/

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