プレッジ

2002/04/26 GAGA試写室
ショーン・ペンが再びジャック・ニコルソンと作った監督第3作。
出演俳優が超豪華。この顔ぶれだけで満腹だ。by K. Hattori

 ショーン・ペンの監督第3作目は、前作『クロッシング・ガード』に続いてジャック・ニコルソンを主役に招いたサスペンス映画。物語は1件の少女暴行殺人事件から始まる。老刑事ジェリー・ブラックは、長年勤めた警察を引退する当日にこの事件に遭遇し、少女の両親に事件発生を伝えに行くことになる。ジェリーは少女の母親に、必ず犯人を捕まえることを誓った。通報者の証言などから、容疑者はあっけなく逮捕される。知的障害を持つインディアンの男は、警察の取り調べに素直に犯行を自供し、その後警官の銃を奪って自殺した。後味の悪い事件の幕切れ。だがこれで一件落着だ。誰もがそう思った。ただひとりジェリーを除いて……。彼は少女を殺した犯人が別にいると直感する。少女が学校で描いた「巨人」の絵。警察のデータベースに残る類似事件との関連性。ジェリーの直感は確信に変わる。犯人は別にいる。だがそんなジェリーの説明に、警察は少しも耳を傾けようとしない。警察を引退して新しい生活に馴染めないジェリーが、頭の中で作り出した妄想だというのだ。だがジェリーは、決して犯人探しを諦めなかった……。

 配役がものすごく豪華。ハリウッド映画で主役を張れる実力派の名優たちが、小さな役も厭わず大勢参加している。例えばジェリーの上司を演じたサム・シェパード。容疑者役のベニチオ・デル・トロ。ガソリンスタンドのオヤジを演じたハリー・ディーン・スタントン。殺された少女の祖母役のヴァネッサ・レッドグレーヴ。行方不明の少女の父役のミッキー・ローク。精神科医役のヘレン・ミレン。これらの俳優たちは、それぞれ数分の出演時間しかない。もっとも重要な脇役で出演するのは、『クロッシング・ガード』にも出演していたロビン・ライト・ペン。とにかくアカデミー賞を受賞したりノミネートされた経験のある俳優が、次から次に登場するのだからため息が出てしまう。「準備に時間はかけられないとわかっていたから、役者もホームラン・バッターが必要だった」とはペン監督の弁だが、それほど予算があるわけでもなさそうなインディーズ映画でこれだけの俳優たちを引っ張ってこられるのは、ショーン・ペンの人徳ではないだろうか。「あいつに声をかけられたら出てやらずばなるまい」と思わせる魅力が、ショーン・ペンの映画にはあるんだと思う。まぁニコルソン以外は出演時間が短いし、みなさんせいぜい数日しか撮影には拘束されていないんだと思いますけれど……。

 直感と妄想は紙一重というのがこの映画のテーマなのだが、これは事件捜査をする刑事だけでなく、映画監督にも当てはまることではないのだろうか。自分の直感や選択が正しいという強い確信なし、映画撮影ができるものだろうか。自分の確信を立証するために、映画監督は現場で大きなリスクを負わなければならない。成功すれば「さすが!」と言われるが、失敗すれば「あいつは頭がおかしい」と言われる。その違いは、ほんの紙一重の偶然に支配されているのかもしれない。

(原題:THE PLEDGE)

2002年6月公開予定 恵比寿ガーデンシネマ
配給:ギャガ・コミュニケーションズGシネマグループ

宣伝:ギャガGシネマ×maison 強力」アーティストフィルム
(上映時間:1時間38分)

ホームページ:http://www.gaga.ne.jp/

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原作:約束(F・デュレンマット)
原作洋書:THE PLEDGE
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