ガイア・ガールズ

2002/04/10 映画美学校第2試写室
女子プロレス団体ガイア・ジャパンを取材したドキュメンタリー映画。
究極のスポーツ根性ドラマ。泣かせどころ満載。by K. Hattori

 元クラッシュギャルズの長与千種が率いる女子プロレス団体ガイア・ジャパンを、イギリスの女性監督が取材したドキュメンタリー映画。僕はプロレスにあまり興味がないし、ましてや女子プロレスなど別世界のことなので、映画を観る前は「どうせなぁ……」という先入観や偏見をこの映画に対しても持っていた。外国人の監督が日本にしかないという女子プロレスを通して、なにがしかの日本人論なり日本文化論を繰り広げるのかなと勝手に想像していたのだ。アメリカのプロレス興行を取材した『ビヨンド・ザ・マット』の日本版? まぁそんな感じの物になっているのかなと思っていた。ところが映画を観てびっくり仰天。これはすごい映画だった。感動した。感激した。映画を観ていて体が熱くほてってくるなんて、もう何年も経験したことがないことだったのに。映画を観るうち、胸の奥から熱い物がこみ上げてきた。「チクショウ、こいつら輝いてるじゃねぇか!」と思った。目頭が熱くなる場面がいくつもあった。

 映画は畑のど真ん中にあるガイア・ジャパンの練習場が主な舞台になっている。映画の中心になっているのは、竹内彩夏という練習生。彼女が1年以上に渡る練習生としての生活を経て、プロのリングに上がるまでの物語だ。文字通り、血と汗と涙のスポーツ根性ドラマがここにはある。歯を食いしばりながら、徹底的に自分の体をいじめ抜く。先輩レスラーのしごきに耐えながら、それでも自分の夢のためにがんばり抜く不屈の闘志が見えてくる。

 僕は青春映画というものを、何者でもない人間が、何者かになろうとして悪戦苦闘するドラマだと定義している。そういう意味では、この映画はまさに青春ドラマそのものだ。練習生の竹内がきつい練習を投げ出してしまえば、彼女は結局「何者でもない人間」のままで終ってしまう。プロのリングに立ちたい。レスラーとして日の当る場所に出たい。しかしそのためだけに、これほどまで苦しい思いをしなければならないのか。僕には彼女がなぜそこまでするのか、その動機はわからない。しかし同じような疑問を持つ練習生が他にもたくさんいる。竹内が血を吐きながら(これは比喩ではない)がんばる姿を見て、「私にはとても出来ない」と練習場を去っていく者たちもいるのだ。

 一度はプロテストに落ちた竹内が、二度目のプロテストに挑むあたりから泣かせどころ満載。がんばる竹内を見守り続けてきた長与千種が、自らスパーリングの相手としてリングに上がる場面など、思い切り浪花節なんだけど泣けるのだ。倒されても倒されても立ち上がってくる竹内を押さえ込みながら、長与千種の目が嬉しそうに微笑んでいる。「こいつがここまで力を付けてくれた」というその手応えを、長与千種が自分の体で確かめている。竹内がプロテストに合格した時、映画を観ているこちらまで思わず拍手しそうになってしまった。プロデビュー戦の対戦相手が、いつも練習相手になってくれていた里村明衣子選手というのも泣かせてくれる。

(原題:GAEA GIRLS)

2002年6月22日公開予定 シネセゾン渋谷(レイト)
配給:エスパース・サロウ

(上映時間:1時間46分)

ホームページ:http://www.espace-sarou.co.jp/gaia/Gaia.html

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