スパイダーマン
(特別映像試写)

2002/04/04 よみうりホール
サム・ライミ監督の新作『スパイダーマン』は完成が遅れているらしい。
完成披露試写はとりやめて特別映像を上映。by K. Hattori

 日米同時に5月上旬公開が決定している映画の完成披露試写がこの日に行われるはずだったのだが、映画の完成が遅れてこの日は33分の特別映像だけが披露目されることになった。ソニーは以前『バーティカル・リミット』の時も同じような「特別映像試写」を行っているが、その時は最初から特別映像の上映と断ってマスコミを招いている。今回は映画完成の披露という招待状をあらかじめ発送した後、数日後に急遽それを取りやめて特別映像に差し替えた。公開までまだ1ヶ月あるからそれまでには映画が完成するのだろうけれど、いったいいつになったら映画本編が観られるのだろうか……。

 原作はマーベルコミックが生んだ古典的アメコミ・ヒーロー。過去にもアニメやテレビシリーズとして何度も映像化されているが、本格的な映画になるのは今回が初めてだという。主演はトビー・マグワイア。ヒロインを演じるのはキルスティン・ダンスト。敵役がウィレム・デフォー。監督のサム・ライミは久々のB級アクションへの復帰だ。彼は最近『シンプル・プラン』や『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』でストレートなドラマを作って、まるでコーエン兄弟のような道を歩き始めてしまい、長年のファンを非常に心配させていた。A級ともB級ともつかない『ギフト』の体たらくぶりは、目を覆いたくなるほどだった。そのライミが、久々にアホラシイ荒唐無稽ヒーローを描いてくれるという期待感。傑作『ダークマン』でヘリに宙吊りになった主人公が、ビルに激突させられそうになると猛スピードでビルの壁面を走るという名場面を作った監督である。きっと今回の『スパイダーマン』でも、観客をあっと驚かせる名場面や珍場面をたくさん作ってくれるに違いない。

 今回の特別映像は、予定では2時間10分になる映画本編の中から、わずか30分ほどを抜き出した物に過ぎない。スパイダーマン誕生の背景になる部分が半分以上で、最後の方に少しだけ、スピーディーなアクションシーンのさわりが引用されている程度だった。それでもこの映画のねらい所や主人公のキャラクターについては、ちゃんとわかるようになっているのが偉い。トビー・マグワイア演じるピーター・パーカーは、通っている高校の中でもまったく目立たない普通の生徒だ。そんな彼が社会見学で訪れた研究所で遺伝子操作を受けたクモに咬まれ、体の中にさまざまなクモの能力を秘めたスパイダーマンへと生まれ変わる。俊敏な運動神経と、細い体に似合わない筋力。腕からは鋼鉄線と同等の力を持つ糸がはき出され、手足を壁面に吸い付けながら高いビルでもぐいぐい上っていく。こうした超能力は荒唐無稽なフィクションだが、10代後半の少年が肉体的にも精神的にも大きな変化を迎えるのは誰もが経験すること。自分の進路に悩むとか、好きな女の子になかなか気持ちを打ち明けられないとか、他人が評価する自分の姿と本当の自分自身の姿の乖離に悩むというのも同じことだろう。何にせよ、完成が楽しみな映画だ。

(原題:SPIDER-MAN)

2002年5公開予定 日劇1他・全国東宝洋画系
配給:ソニー・ピクチャーズ 宣伝:マンハッタン・ピープル

(上映時間:33分)

ホームページ:http://www.spider-man.jp

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