ミミックII

2002/04/03 メディアボックス試写室
ミラ・ソルヴィーノ主演の前作からモンスターの設定を借りたパート2。
ひょっとするとこれは長いシリーズになるのかも。by K. Hattori

 メキシコの鬼才ギジェルモ・デル・トロ監督のハリウッド進出作『ミミック』の続編だが、主人公はミラ・ソルヴィーノ演じるタイラー博士から、その助手のレミにバトンタッチし、監督もTV出身のジーン・デ・セゴンザックに交代している。要するにこれは、人間に擬態する昆虫というモンスター“ユダの血統”だけを借りた、低予算のパート2作品だ。主演のアリックス・コロムゼイは一応前作にも出ているけれど、このレミというキャラクターを覚えている人は少ないと思う。僕もすっかり忘れていたし、この映画を観ても思い出せません。

 地元の学校で教師として働いているレミの周囲で、次々と起きる連続殺人事件。被害者はいつも内蔵を抜き取られ、顔面の皮をむしり取られていた。警察は被害者たちと親しい関係にあるレミを重要な容疑者とみなすが、捜査を担当するクラスキー刑事はレミ本人より、彼女の近くにいる何者かが犯人だと目星を付けた。大の男ばかりが次々に惨殺される事件が、女性であるレミの単独犯であるはずがない。だがやがて真犯人が正体を現す。それは前回の事件で生き残っていた、ユダの血統の生き残りだったのだ。それはレミとの間に子孫を残すため、彼女の周囲にいる他のオスたちを排除していたのだった。

 よく考えるといろいろと疑問のある話だし、演出も平凡であまり恐くもない。しかしそもそも1作目の『ミミック』からして、「巨大化したゴキブリが人間を襲う」という身も蓋もないB級C級のSFホラーだったわけだし、少なくとも日本ではそれほど話題になった映画でもないと思う。だからその続編が、とりたてて面白いとか、とりたてて凄いとか、最初から期待する方が間違っている。この映画は『ミミック』の続編としては、きわめて真っ当な、身の程を知った野心のない作品として、むしろ僕に好ましい印象すら与えたのだ。

 前作『ミミック』でも面白かったのは、結局のところ「昆虫が人間に擬態する」というアイデアだった。そのアイデアをこの続編ではちゃんと生かしているし、さらにその次の手も見せてくれる。ユダの血統が次の進化でどんな変貌を遂げるのか? じつはその予想も映画を観ていればすぐに付いてしまうのだが、こうした意外性のない展開も、この映画には結構似合っているかもしれない。こうしたホドホド感こそが、続編には必要なのだ。

 おそらくこの映画は、今後もシリーズ化するつもりなのだと思う。ユダの血統というモンスターの最終進化形も今回見せたし、ユダの血統に対して政府内部でさまざまな組織がそれぞれの思惑を持って動いているという様子も見せた。前作で死滅したはずのユダの血統の卵や幼虫が、いったいどこから持ち出されたのかも謎のままだ。こうしてあちこちに次回作につなげられるエサをばらまいておくことが、案外この映画の目的だったのかもしれない。あとはTV映画で続編を作ってケーブルに流してもいいし、主人公を若くしてティーンズホラーにしてもいい。今後の応用はどうとでもなるのだ。

(原題:MIMIC II)

2002年5月公開予定 シネマメディアージュ他・全国
配給:ギャガ・ヒューマックス共同配給 宣伝:メディアボックス

(上映時間:1時間32分)

ホームページ:http://www.gaga.ne.jp/

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