あのころ僕らは

2001/09/18 徳間ホール
ディカプリオやトビー・マグワイアが1995年に撮った青春映画。
アメリカじゃ観られない貴重な映画です。by K. Hattori

 今をときめくレオナルド・ディカプリオやトビー・マグワイアが出演した青春映画。週末の夜、ロスにある深夜営業のダイナー(バーを兼業)に集まって、うだうだと戯言めいた雑談に花を咲かせる若者たちの姿を描く。導入部は登場人物達がそれぞれ別々の場所にいるのだが、それが特に時間を示し合わせるでもなく「ドンのプラム」という店に集まってくる。(映画の原題はこの店の名前。)この店は特にオシャレな店でも何でもない。集まってきた連中が注文するのも、コーヒー、コーラ、サンドイッチ、手羽先のフライ、ポテトフライ、スコッチの水割りなど、特別なものは何もない。立地条件がいいわけでもなく、名物店員がいるわけでもなく、料理がうまいわけでもない。取り柄は深夜から朝まで営業しているということだけ。要するにこれは、深夜のファミレスでコーヒー1杯頼んでいつまでもダベっている若者と同じです。適当に食べて、適当に飲んで、適当におしゃべりして、朝になったらそれぞれが家に帰っていく。

 もともと1995年に親しい俳優仲間が集まって撮影された映画だそうですが、その後出演者と製作側でトラブルが生じ、長らくお蔵入りしていたいわく付きの作品。なんでもアメリカとカナダでは映画上映もビデオ発売もできず、それ以外の地域でのみお目にかかれる作品らしい。日本も当然「それ以外の地域」なので、こうしてこの映画を観ることができるわけだ。この映画がお披露目になったのは昨年のベルリン映画祭で、その時もちょっと話題になった。セックスやマスターベーションについてあけすけな会話をするシーンがあって、ディカプリオやマグワイアは「今後の仕事に影響する」と文句を言ったらしい。でもこの程度のことで、仕事に悪影響があるのかな? 本当のところは、製作者や監督側と出演したディカプリオやマグワイアの間に、何らかの感情的な軋轢があったことが問題を複雑化させたのではないかな。まぁ、そこにあまり立ち入っても仕方ないけど……。

 映画の中心は雑談なので、その内容はあっちに話題が向けば、次にこっちに話題が振られるという具合。まったくテーマは絞られず、とりとめがない。登場人物達が時々トイレに立ち、鏡に向かって本音を暴露することがドラマのアクセントになっているのだが、こうした本音が雑談の場に持ち出されることはない。だからこうした本音の吐露はあくまでもアクセントであって、物語の本質には触れてこない。会話は生き生きしてリアリティがあるが、これは現場での即興を重視した演出によるものだと思う。ディカプリオがヒッチハイカーの女の子をいびり倒すシーンなんて、観ていてこちらまで不愉快になってくるような悪意に満ちている。ひょっとしたらこういうシーンには少なからず「演技以上のもの」が入り込んでいて、それをディカプリオらが嫌ったことが上映禁止訴訟につながったのではと思わせるほどだ。

 それにしてもディカプリオは最近人相が変わった。マグワイアはそれほどでもないのに、彼はまるで別人だよ。

(原題:Don's Plum)

2002年正月公開予定 シネマライズ
配給:クロックワークス 宣伝:楽舎

(上映時間:1時間30分)

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