キャッツ&ドッグス

2001/09/14 ワーナー試写室
世界征服を狙う猫一族とそれを阻止しようとする犬たちの死闘。
子供が大喜びしそうな動物コメディ映画。by K. Hattori

 古代ペルシャの宗教家ゾロアスターは、この世界を光の神アフラマズダと闇の神アーリマンの戦いの場だと考えた。それから数千年たった21世紀の現代。人間の知らないところで、数千年もの戦いを続けている2つの種族があった。それは人間の生活のすぐ隣で行われている。だが人間たちは誰もそれに気づかない。人間は身近すぎるものには、特別な注意を払わないものだ。2つの種族の一方は、人間の守護者として働く犬たち。もう一方は、人類を支配して地球を乗っ取ろうとする猫たちだ。人間たちはすっかり忘れてしまったが、かつて猫たちは古代エジプト王朝を乗っ取り、人間を奴隷のようにこき使っていたことがある。そこで人類のために立ち上がり猫を追い払ったのは、常に人間の忠実な友である犬たちだ。この事実は人間にとってあまりにも忌まわしく屈辱的な記憶なので、歴史から完全に抹殺されているのだが……。

 最新のデジタル技術を使って、犬と猫のハイテク戦争を描いたコメディ映画。犬アレルギー治療薬を開発中の科学者宅を舞台に、研究を妨害しよう過激な破壊工作をたくらむ猫たちと、そうはさせじと科学者宅を警備する犬たちの攻防が続く。主人公はこの戦いのまっただ中に、偶然迷い込んだ素人犬。何の訓練も教育も受けていない子犬が、周囲のベテランエージェントたちの手助けを受けながら一人前のエージェントへと成長していくわけだ。天才科学者を演じるのは『ザ・フライ』『ジュラシック・パーク』『インデペンデンス・デイ』など理数系の役が多いジェフ・ゴールドブラム。その妻を演じるのは『フリントストーン/モダン石器時代』のエリザベス・パーキンス。主役の犬“ルー”と親友になる科学者宅の一人息子を演じているのはアレクサンダー・ポラック。監督はローレンス・グーターマン。

 系統としては『ベイブ』『マウス・ハント』『101』『スチュワート・リトル』などの流れにあるものだが、内容は思いっきり子供向け。もう少し工夫すれば大人も楽しめるファンタジー映画になるのに、この映画はそうした粘り腰を見せず、最初から最後まで「対象年齢12歳以下」のお話と演出で押し通す。大人が観れば子供だましな映画だと思うだろう。でもそんな映画にも徹底して手間暇をかけるのが、ハリウッド映画のすごいところ。動物トレーナーの職人芸とデジタル技術を結びつけ、生身の動物が見せる芸の数々と、『マトリックス』ばりのカンフーアクションをシームレスにつなげる面白さ。これは実写で描かれた漫画です。馬鹿馬鹿しくてくだらない話を、精一杯真面目に一生懸命作っている。

 この映画は予告編が抜群に面白かったんだけど、映画本編は予告編ほどには面白くない。真面目で一生懸命なのはわかるけど、演出のテンポが悪くてイマイチのりが悪いのです。個々のシーンに面白さはあっても、そこで生まれた笑いが連鎖して大きな笑いを引き出すことが出来ないでいる。どうもこの監督、やけに演出が慎重なのです。荒唐無稽な嘘を堂々と押し通す図太さがほしいよ。

(原題:Cats & Dogs)

2001年10月6日公開予定 全国松竹東急系
配給:ワーナー・ブラザース 宣伝:ドラゴンキッカー
(上映時間:1時間27分)

ホームページ:http://www.warnerbros.co.jp/catsanddogs/

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