Last Dance
−離婚式−

2001/09/04 東映第2試写室
離婚寸前のカップルを集めたテレビ局主催の船上パーティ。
アイデアはともかく、脚本も演出も滅茶苦茶 。by K. Hattori

 「結婚したカップルの1/3が離婚する時代、結婚式があるなら離婚式があってもいいじゃないか」と考えたテレビ局が、離婚寸前のカップルを集めた船上ダンスパーティを開くという番組を企画した。ところが特別参加者として、長らく離婚が噂されていた芸能人夫婦が乗船していたから大変。船にはマスコミの芸能担当記者たちが同乗し、各社入り乱れての取材合戦が繰り広げられる。芸能週刊誌の記者・香里は、デスクから特ダネ奪取を厳命されて急遽この取材に参加。ところが乗船したその夜に、番組の担当ディレクターといきなり衝突してしまう。はたして噂の芸能人は本当に離婚するのか? 船に乗り合わせたワケアリカップルたちの運命は?

 離婚しそうなカップルを集めて船に乗せてしまうというアイデア自体は悪くないと思うし、そこに混ざった芸能人カップルと取材する記者の関係を中心に話を作っていくというのも悪くない。この記者が取材直前に男にこっぴどく振られていて、それが独身主義者の若いプロデューサーと船内で知り合うというのも悪くない。要するに物語の出発点はすべて「悪くない」はずなのに、映画がここまで悪くなってしまうのは困りもの。監督が『GOING WEST 西へ…』『故郷』の向井寛だから、そもそも大した映画にはなるまいと思っていたが、今回は老人問題も出てこないし、映画のアイデアの出発点そのものは悪くないと思ったんだけどなぁ……。でも駄目。

 大勢のカップルが登場するのは構わないが、エピソードがまったく未整理。数組のカップルをピックアップして、なぜ彼らが結婚したのか、なぜ結婚生活が破綻したのか、なぜ離婚を決意したのかを、細かくフォローしていかなければ意味がない。完全に結婚生活が駄目になっているけれど、せもやっぱり「苦労しながらでも結婚生活を続けていこう!」という結論に落とし込むにはどうすればいいのか。そこが腕の見せ所だろうに。それにこの映画、物語のバックグラウンドがまったくわからない。船はテレビ局の貸し切りじゃないの? ジェームズ三木は何のつもりで船に乗っているの? 森繁と淡島千景のカップルも離婚式に出席するつもりだったの? 最後のダンスパーティに至る過程を、なぜテレビ局はまったく取材していないの? とにかく滅茶苦茶です。

 ヒロイン役の大河内奈々子と松岡俊介が登場した時点で、このふたりがカップルになることは観客にわかっている。でも互いに反発していたふたりがなぜ恋に落ちるのか、そのきっかけになるエピソードがまったくないのは奇妙。若い男女を狭い船に閉じこめておけば、性欲だかホルモンだかフェロモンだかの作用で勝手にペアになるってことですか? 船の中のあちこちの部屋に、まったく鍵が存在しないのも異常。宿泊者の個室は互いに出入り自由、芸能人の部屋にも取材記者が自由に入り込み、スタッフルームにも記者がなだれ込む。船医が芸能人を診察して、その結果を芸能記者の目の前で本人に告げるというのもひどすぎ。とにかくひどすぎる映画でした。

2001年10月6日公開予定 新宿東映パラス2他・全国順次公開
配給協力:東映  宣伝:スキップ
(上映時間:1時間48分)

ホームページ:http://www.nebis.ne.jp/lastdance/

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