ビバ!ビバ!キューバ

2001/07/13 シネカノン試写室
キューバの有名なキャバレー「トロピカーナ」を舞台にしたラブコメ。
ショー場面の迫力に息をのみ、ギャグに大笑い。by K. Hattori

 キューバ観光の目玉として、外国人向けの観光ツアーに必ず含まれているのが老舗キャバレー「トロピカーナ」。革命前から今も営業しているこのキャバレーはステージが屋外にあるため雨天の場合はショーが中止になるが、晴れた日には星空の下で豪華絢爛なショーが見られる。3千人収容できるという客席には外国人しかいない、完全に外貨獲得のためのショーだが、歌あり踊りありアクロバットありで、かなり見応えがあるらしい。この映画はその「トロピカーナ」を舞台に、スターを目指すダンサーと彼女に一目惚れした青年、ヒロインの父親と恋人などが引き起こすドタバタを描いたラブ・コメディだ。原題『Un Paraiso bajo las Estrellas(星空の下の楽園)』はトロピカーナのキャッチフレーズだという。話は他愛ないもので、結末は物語が始まったとたんにわかってしまうのだが、全編にちりばめられた音楽やダンスの素晴らしさにうっとりし、ギャグの数々に笑い転げているうちに、1時間半はあっという間に過ぎてしまう。映画を観ればキューバに行きたくなること請け合い。僕もトロピカーナのショーが見たい!

 トロピカーナのオーディションに合格したシーシーだが、振付師アルマンドは自分と付き合うことがスターダンサーになる条件だと、ショービジネスの世界では当たり前の提案をする。だがシーシーは市場で出会った青年セルヒートと互いに一目惚れ。ところが捨て子だったというこのセルヒートは、どうやらシーシーの父親カンディドと元恋人との間に生まれた子供らしい。それに気づいた父の友人プロメディオは、忌まわしい近親相姦を避けるため何とかシーシーとセルヒートを別れさせようとするが、ふたりの恋はますます盛り上がってしまう。

 中心は新旧(?)男女のドタバタだが、何度も登場するショーの場面がこの映画の魅力の半分以上を占めていることは間違いないと思う。演出などで少々生ぬるく感じるところがないわけでもないが、シーシーがスターになって以降のナンバーはどれも見応え十分。シーシー役のタイス・バルデスはちょっとグエン・バードンに似た非美人系の美女(矛盾した表現だなぁ)だが、彼女にバードンの面影を感じてしまうのは、ダンスの振り付けによるところも大きいんだと思う。最初のオーディション風景を見ただけで、「お、グウェン・バードンじゃないか」と思ってしまった。ただし声は全然似ていない。

 シーシーとセルヒートの近親相姦をどう防ぐかというのが物語の最大のテーマだが、セックスに対して大らかなキューバでは、恋人同士にセックスするなという方が無理な話。しかし映画の中ではそこをうまく工夫して、恋人たちが最後の一線をなかなか越えられない工夫をしている。かなり無理や強引さも感じられるのだが、そこをギャグやダンスで巧みにごまかしながら、まさかそこまではやらないだろうというクライマックスと大団円に向かって突き進んでいく。バナナの皮には驚いた。とにかく楽しい映画で、現時点で今年のナンバー1です。

(原題:Un Paraiso bajo las Estrellas)

2001年9月公開予定 銀座シネ・ラ・セット
配給:シネカノン

ホームページ:http://www.cqn.co.jp/

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