デンジャラス・ビューティー

2001/05/31 ワーナー試写室
サンドラ・ブロックの魅力が100%生かされた楽しい作品。
FBIの捜査官がミスコンに潜入して大暴れ。by K. Hattori

 大ヒット『スピード』で一躍世界中の映画ファンから注目を集めたものの、その後は『ザ・インターネット』『あなたが寝てる間に…』『スピード2』『プラクティカル・マジック』『微笑みをもう一度』『恋は嵐のように』など主演作がどれもパッとしなかったサンドラ・ブロックの主演最新作。今回の映画は彼女のキャラクターにすっぽりはまった作品で、久しぶりにサンドラ・ブロックの魅力がスクリーンで満開に花開いたという感じ。正真正銘彼女の主演映画で、他の出演者に遠慮して芝居が萎縮するようなところもないから、ファンは本当に久しぶりに溜飲が下がった思いがするはずだ。映画としてもハラハラドキドキのスリルあり、思わず吹き出すギャグの数々あり、ホロリとさせる泣かせどころありと、最初から最後まで見せ場が多い。しかしその中心にいるのは、常にサンドラ・ブロック。これはスリラー映画でもサスペンス映画でもコメディ映画でもなく、サンドラ・ブロックひとりのための“スター映画”なのです。

 FBIは連続殺人犯“シチズン”の犯行予告メッセージを分析し、次のターゲットがミスコン会場であると断定。現場の警備と捜査のために、潜入捜査官を出場者のひとりとして潜り込ませることになる。そのため白羽の矢が立ったのが、胸なし化粧気なし色気なし男なしのグレイシー・ハート捜査官。「ミスコンなんて頭が空っぽの女が出るバカ女の品評会みたいなもの」とはなからコンテストを軽蔑しきっていたグレイシーは、凄腕の美容コンサルタント、ビクター・メリングの手によって見る見るうちにアメリカでナンバーワンの美女に大変身する。

 ミスコンの楽屋裏を描くコメディとしては、つい最近も『私がきれいになった100の秘密』という映画があり、ミスコンの内情をさんざん茶化したり皮肉ったりしていた。しかしこの『デンジャラス・ビューティー』は「ミスコンなんて!」と鼻で笑うヒロインを主人公にしているものの、ミスコン自体を笑いものにはしていない。ミスコンに出場する女性たちの生き方を否定することなく、そこに集う女性たちが持つごく自然な夢と希望と野心と挫折を描いていく。これはフェミニズムの主張がごく当たり前に受け入れられている今この時代だからこそ、逆にユニークで新鮮な視点になっている。観客は主人公グレイシーと共にミスコンに対する偏見から解放され、「女の子はみんながんばれ!」という映画のメッセージに素直に共感できるようになる。

 映画の見どころは、サンドラ・ブロックのがさつな男女ぶり。笑うときガハハと声を上げ、ついでにブヒブヒ鼻まで鳴らしてしまうグレイシーを、観客はすぐに大好きになってしまうはず。登場するキャラクターたちはみんな生き生きとしていて、どの人物も魅力たっぷり。同僚の捜査官や上司もいいし、マイケル・ケイン演じる美容コンサルタントも最高。アメリカでヒットした映画だから、ひょっとしたらパート2が作られるかもしれないし、ぜひ作ってほしい。こんな映画の続編は大歓迎だ。

(原題:Miss Congeniality)

2001年6月9日公開予定 丸の内ルーブル他・全国松竹東急系
配給:ワーナー・ブラザース映画
ホームページ:http://www.warnerbros.co.jp/archives/dangerous_beauty/index.htm


ホームページ
ホームページへ