ゴシップ

2001/05/25 SPE試写室
スウェーデン芸能界を吹き荒れたクリスチーナ狂想曲。
登場人物が多すぎて覚えられません。by K. Hattori


 グレタ・ガルボはスウェーデンの貧しい家庭に生まれ、モデル、PR映画への出演などを経て女優になった。スウェーデンやドイツの映画に出ていたが、1925年にアメリカのMGM映画に引き抜かれてトップスターになる。'41年に36歳で引退するまで、ドイツ出身のマレーネ・ディートリヒと共に'30年代のハリウッドを代表する大女優だった。彼女の代表作のひとつが、'33年に主演した『クリスチナ女王』。クリスティーナは17世紀に実在したスウェーデンの女王で、それをスウェーデン出身のガルボが演じたところがミソだ。

 時代は突如現代に戻る。現在スウェーデンの芸能界を賑わしているのは、ハリウッドで再映画化されることが決まった『クリスチナ女王』の主役を、誰が演じるかという話題。ハリウッドの映画会社は主役にスウェーデンの女優を使う方針で、最終的に候補となったのは、現代のスウェーデンを代表する有名な女優ばかり。第二のガルボになるのは誰か。既にオーディションとカメラテストは終わっている。あとは発表を待つばかりだ。それぞれにキャリアもある、人気もある、自信もたっぷり。狭い芸能界の中でそれぞれ公私に渡るつき合いもあることだし、すべての審査は終わってしまったのだから、今さらジタバタしても仕方がない。だがそうは言いながら、9人の関係はいつになくピリピリとしたものにならざるを得ない。映画はそんな女優たちの火花散るライバル意識をベースにしながら、それぞれの家庭生活や秘密の関係を描き出していく。映画は作品そのものより、製作にたどり着くまでの裏話が面白い。この映画はリメイク版『クリスチナ女王』を巡るスウェーデンの芸能界裏事情を、ユーモアと皮肉のスパイスたっぷりに描いている。

 監督は『太陽の誘い』のコリン・ナトリー。ロルフ・ラスゴードとヘレーナ・ベリストレムが『太陽〜』に引き続き本作にも出演しているが、今回は純真無垢とは程遠い、腹に一物も二物も抱えた生臭い人物を演じている。出演者のほとんどはスウェーデン中心に活動している女優たちなので、日本ではあまり馴染みのない顔ばかり。『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』でアナキンの母を演じていたペルニッラ・アウグストや、『アイズ ワイド シャット』に出演していたマリー・リカルドソンを覚えている人がいるかもしれないが、それも「どこかで見た顔だなぁ」程度のことだろう。僕は登場人物の相関関係がさっぱり飲み込めず、どのエピソードがどの人物のどのエピソードとつながっているのか理解しにくかった。これは出演者たちと顔なじみのスウェーデン人には一目瞭然なのでしょうが、僕にはさっぱりわからない。登場人物のほとんどが役者という設定なので、服装も髪型もメイクも、場面が変わるとコロコロ変化していってしまい、エピソードを追いかけるのが大変。もっとも僕はこの試写が週末のどん尻でかなりくたびれており、それがよくなかったのかもしれない。元気なときに観れば、もっとよくわかったかも。

(原題:Gossip)

2001年今夏公開予定 シャンテ・シネ
配給・宣伝:アルシネテラン
ホームページ:http://www.alcine-terran.com/


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