ザ・スカルズ
髑髏(どくろ)の誓い

2001/03/29 UIP試写室
アメリカの大学に実在する秘密結社の内部事情。
スリラー仕立ての異色青春映画。by K. Hattori


 世の中には秘密結社というものがある。存在そのものが秘密とされているものもあれば、存在そのものは周知のものだが、その内情が組織に属しているメンバーにしか明らかにされないものもある。前者の代表例が反社会的な活動をしている政治結社や犯罪結社などの地下組織で、かつては共産党やマフィアなどもそうした存在だった。後者の例はものすごく多くて、中身は一種の社交クラブであることが多い。大学の同窓会組織や会員制のクラブ、企業内にある出身大学別の会合なども、特殊な入会儀礼や規約、会員の守秘義務が存在すれば秘密結社めいてくる。秘密結社の代表選手はフリーメーソンだが、これは現在情報を外部にオープンにしているから秘密結社とは言いがたい。アメリカの大学には学生が所属する秘密結社が実在するそうで、その存在は誰もが知っている。しかし誰がどのようにしてそのメンバーに選ばれるのか、組織の中で何が行われているのかが外部に漏れることはない。情報を外部に漏らさないのが、秘密結社の秘密結社たるゆえんなのだからこれは当然の話。結社のメンバーに選ばれるのは、とても名誉なことらしい。

 この映画の主人公ルーク・マクナマラは、学業成績も優秀でスポーツ選手としても好成績を残し、周囲のリーダー格になっている人気者。幼い頃に両親を亡くした彼は、奨学金を得てさらに上の学校に進みたいと思っている。そんな彼だから、学内のいくつかの秘密結社から誘いの声をかけられている。だが彼が入会を希望しているのは、学内でも最大の勢力を持つ「スカル」というエリート主義の秘密結社。ある晩、ルークのもとにいよいよそのスカルから誘いの電話がかかってくる。大喜びでスカルのメンバーになるルーク。だが結社の守秘義務は、ルークと友人たちの信頼関係を少しずつ蝕んでいく。

 大学内の秘密結社というのは、この映画の中では誰もが知っている当然の話として登場する。大学の中に結社の集会所がいくつも存在し、それぞれが堂々と結社の看板を掲げているのには驚いた。もっとおどろおどろしく後ろ暗いものだと思っていたら、そんな気配は微塵もない。これは学内のクラブ活動みたいなものです。秘密の入会儀礼と、外部への守秘義務があることだけが、オープンなクラブ活動との大きな違い。社会的な地位や権力を持ったOBが後輩学生に何かと世話を焼き、進学や就職の世話をしてくれるというのもクラブやサークル活動と何らかわりはないように思う。何かと謎めいて見える秘密結社ですが、その内情の一端が描かれているという意味では、いろいろな点で興味深い映画です。

 映画は途中から殺人事件を巡るミステリーになるのですが、そこで大きく立ちふさがるのが「秘密結社の守秘義務規定」です。内部で起きた事件を、内部でかばいあって処理してしまう。こうした身内をかばう体質はどんな組織にもあるので、これはわりと普遍的なドラマかもしれません。主役のジョシュア・ジャクソンに魅力があれば、一風変わった青春映画の佳作になったでしょう。

(原題:THE SKULLS)

2001年5月公開予定 銀座シネパトス
配給:UIP
ホームページ:http://www.uipjapan.com


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