LIES/嘘

2001/01/19 松竹試写室
韓国の発禁小説を映画化した愛とセックスの物語。
韓国版の日活ロマンポルノだなぁ。by K. Hattori


 高校卒業までに処女を捨てようと決心したYは、たまたま親友が大ファンだったことから有名な彫刻家Jを知り、最初のセックスは彼としようと決意する。18歳の女子高生と38歳の既婚の彫刻家は、互いの身体をむさぼるようにセックスする。だが何度か逢ううち、ふたりはムチや棒で相手を打つSM行為にのめり込んでいく。

 韓国で発禁処分になった原作小説を、『バッド・ムービー』のチャン・ソヌ監督が映画化したもの。映画のほとんどが主人公たちのセックスシーンで埋め尽くされ、愛撫や交合シーン、SMプレイが何度も出てくる。この映画のテーマはずばりセックス。ここには男女のロマンチックな馴れ初めはないし、ベッドの中での甘ったるい睦言もない。あるのはひたすらセックスのみ。恋人同士のセックスでも、初デートの日からいきなり過激なプレイに挑むなんてことはそうそうないだろう。(少なくとも僕は少し遠慮する。)互いに相手への信頼関係が生まれ、セックスの嗜好も理解し合ったところで、行為内容がエスカレートするのではなかろうか。(少なくとも僕はそう思う。)行為がエスカレートしてふたりで新たな快楽を発見して行く過程が、互いの信頼感や一体感を生み出すんだと思うけどね。(なんか自分のセックス体験を告白するようで恥ずかしいぞ〜。)

 ところがこの映画の主人公たちは、初めて逢ったその日にやるべきことをすべてやってしまったので(処女喪失のその日に、濃厚クンニ、生フェラ解禁、祝アナル開通!)、その後のエスカレートは通常のセックスとは別次元に発展してしまう。始まりは2度目の逢瀬の日に、Jが後背位でセックスしながら平手でYの尻を叩いたこと。Jにはサドっけがあったのだ。「今までつき合った女性も、みんなこれが嫌で逃げちゃって。妻も皮ベルトまでは我慢してくれたんだけど」と言うJに、Yは「私は愛してるからどんなことでも受け入れる」と宣言。こうして行為に歯止めが利かなくなったふたりは、細い棒きれ、しなかやか鋼線、鉄パイプ、モップやほうきの杖、木の枝、角材(これにはびっくり!)まで使って、Yの尻をぼこぼこにひっぱたく。沸き上がる性衝動を打擲という形で噴出させるJと、「愛してる」と叫びながら痛みに耐えるY。これってやっぱり純愛か?

 僕はセックスは好きだけど痛そうなのは苦手。だからこの映画のカップルを観ていても「うわぁ」と思うだけで、その行為そのものへの共感はなかった。しかしこの映画が描こうとしているのは、セックスの中ではどんな痛みも汚れも許されてしまうということなんだと思う。圧巻はJがアナルセックスして汚れたペニスをYに口で舐め取らせ、その汚れた口にJがキスする場面だろう。映画の中では「ウンコを食べた」と表現されてますが、これはかなり強烈に悪臭が漂う光景。でもそれがこのふたりの間では許されてしまう。考えてみれば、この映画にはシャワーシーンもお風呂もない。いつもいきなりフェラやクンニをしてるんだよなぁ……。

(原題:Gojitmal 英題:LIES)

2001年春公開予定 シアター・イメージフォーラム
配給:K2エンタテインメント


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