102
ワン・オー・ツー

2001/01/09 ブエナビスタ試写室
ヒット作『101』の続編。主演は当然グレン・クローズ。
「ベラ・ノッテ」が流れるシーンで僕は泣いた。by K. Hattori


 ディズニー・アニメの名作『101匹わんちゃん』(僕が子供の頃に観たときは『101匹わんちゃん大行進』というタイトルだった)を実写でリメイクしたヒット作『101』の続編。今回の主役はクルエラ・デ・ビル。3年前に101匹のダルメシアンを盗んだ罪で刑務所に入っていたクルエラは、最新の精神療法で犬好きの善良な夫人に大変身。仮釈放された彼女は、捨て犬のための施設に援助をするなど、すっかり生まれ変わって第二の人生を送ろうとしていた。ところが“最新の精神療法”には重大な欠陥があって、クルエラはふとしたきっかけで元の残忍な女に逆戻り……。

 クルエラ役のグレン・クローズが大車輪の活躍を見せる映画で、そのハチャメチャぶりは前作以上にスケールアップ。オリエント急行でパリに行って、サービス過剰気味なカースタントまで見せてくれる。今回は毛皮商人役でジェラール・ドパルデューも出演しているのですが、クルエラの毒気にあてられてか、ずいぶんと影が薄くなってしまった。グレン・クローズはすごい。すごすぎる。でもこの映画に欠点があるとすれば、たぶんそこだろう。前作『101』は「名のある大女優がここまでやるか!」という驚きがあったわけで、それは今回もまったく同じ。でもどうせなら、ドパルデューもクローズと同じぐらいひどい目に遭わせてほしかった。「グレン・クローズはすごいぞ!」だけなら前作と同じだもんね。十分に面白いけれど、新鮮味はあまりない。シチュエーションが変わっただけで、やっていることは似たり寄ったり。ここではドパルデューも最後のハチャメチャにからめて、ドタバタギャグを2倍に濃縮してほしかった。アニマルパンツをはいてポーズを決めるマッチョで癇癪持ちのオカマという抜群のキャラクターを、クライマックスで生かし切れていないのは非常に惜しいのだ。

 監督は『ターザン』のケビン・リマで、実写映画は今回が初めて。でもこの映画は画面のあちこちが合成だらけだから、製作手法としては普通の映画よりむしろアニメーション作品に近かったかもしれない。撮影現場では、デジタル合成のための“素材”を撮っているようなものでしょう。芝居もこの映画についてはマンガチックで構わないわけで、グレン・クローズやドパルデューはそのあたりを上手くわきまえて演技を誇張しています。

 僕はこの手のリメイクものや続編映画では、オリジナル作品への敬意がどの程度払われているかがポイントだと思っています。この映画では『101匹わんちゃん』のテーマ曲「町のクルエラ」の替え歌で悪女クルエラの変身ぶりを皮肉ってみたり、ディズニーアニメの名作『わんわん物語』から有名なスパゲティのシーンを引用したりしている。名曲「今夜はベラ・ノッテ」(だったっけ?)に合わせて初デートのカップルが『わんわん物語』のシーンをなぞる場面は、作り手のオリジナル作品に対する愛情が感じられる名場面。ここで『わんわん物語』を引用するずらし具合も、なかなかいいセンスだよなぁ……。

(原題:102 DALMATIANS)

2001年3月公開予定 日劇プラザ他 全国東宝洋画系
配給:ブエナ ビスタ インターナショナル(ジャパン)


ホームページ
ホームページへ