ワイルド・カリフォルニア

2000/12/19 東京アイマック・シアター
『エベレスト』の監督によるアイマックスの大型映像。
今回は内容盛りだくさんのオムニバス風。by K. Hattori


 アイマックスで上映された『エベレスト』のグレッグ・マクギリブレイ監督が、カリフォルニアを舞台に描くアイマックスの新作ドキュメンタリー映画。2Dなので画面も明るいし、頭も痛くならない。視界一杯に広がる大画面は迫力満点。今回のテーマは「カリフォルニアでの冒険」だ。スカイサーフィンや大波に挑むサーフィン、スノーボードやアクロバットスキーといったスポーツ関係の映像。ゴールドラッシュ、ディズニー映画、ハリウッドの映画産業、シリコンバレー、ゴールデンゲート・ブリッジなど、カリフォルニアの産業開発史。ラッコや白頭ワシ、ジャイアントセコイアの保護など、自然と人間との調和を目指す人々の挑戦。内容的にはかなり盛りだくさんだが、これを40分ほどにまとめている。

 サーフィンやスノーボードのシーンについては、同じアイマックスの『エクストリーム』の方が迫力があったと思う。この映画はこの2種目についてはさらりと流す。定番のスポーツだから一応は紹介しただけなのかもしれない。スポーツで目玉になっているのはスカイサーフィン。これは成層圏近くを飛ぶ飛行機からスノーボード状の板を足につけたサーファーが飛び降り、それを一緒に飛び降りたカメラマンが撮影して得点を争う協議らしい。このスポーツは日本のCFでも紹介されていたと思うけれど、大画面で観るとその何十倍もの迫力がある。ダイバーやカメラマンの様子を上や下から何度も撮っているのだから、たぶんジャンプを何度か繰り返して撮影し、それをつなぎ合わせているのでしょう。

 僕は高所恐怖症気味のところがあるので(そのくせにマンションの最上階が仕事部屋だったりするけど)、この映画の中でオシッコちびりそうになったのは、ふたりの作業員がゴールデンゲート・ブリッジのワイヤーの上をとことこ歩いているシーンだった。1930年代に造られた橋を維持管理するためには、こまめなメンテナンスが欠かせない。そのために作業員がワイヤーをチェックしたり、さびを落としたり、ペンキを塗り足したりといった作業を行っている。腰のベルトから命綱が2本。それを左右のワイヤーに通してあるのだが、ワイヤーの継ぎ目のところに来ると、その金具をひょいとはずして次のワイヤーにつなぎ変える。観ているだけでドキドキ。僕があの場に直接行ったら、高さに目を回して気を失ってしまうに違いない。高い場面のスリルは映画の中にいくらでも出てくるが、劇映画の中の高所は映画のトリックで作られた嘘ばかり。この映画は文字通りの本物で、観ていると腰のあたりがムズムズしてきます。

 『エベレスト』では同じモチーフをじっくり取材していましたが、この映画は大きなテーマを決めてその中で複数の場所を異なった角度から取材して行くオムニバス風の作り。『エベレスト』が巨大な肉の塊をじっくりと焼いたTボーンステーキだとすれば、『ワイルド・カリフォルニア』は前菜からデザートまで内容盛りだくさんのコース料理。どちらが美味いか比較は困難だ。

(原題:ADVENTURES IN WILD CALIFORNIA)

2001年2月3日公開予定 東京アイマックス・シアター
配給:(株)さらい


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