ファイナル・デスティネーション

2000/11/08 GAGA試写室
飛行機事故から逃れ死神に付きまとわれる高校生たちが、
死の予兆をキャッチしてサバイバル。by K. Hattori


 胸騒ぎとか、ジンクスとか、第六感とか、虫の知らせとか、人間は通常の因果律を越えた部分で、未来に対する何らかの予兆をキャッチする能力があるらしい。その極端な例が予知夢だ。象徴的な夢を解釈して未来を占う話は聖書にも登場するし、夢のお告げで世界の歴史が変わってしまう例もある。だがほとんどの人は、夢で何らかの災害を予兆したとしても「夢だから」という理由でその兆しを無視してしまう。1966年にウェールズで村の小学校が崩れたボタ山に児童ごと飲み込まれるという事故が起きたが、その直前に多くの子供たちがそれを知らせる夢を見ていたという。子供が学校を恐がっても、親たちは「たかが夢」と考えて我が子を学校に送りだした。「そういえばあの時」と思った時は後の祭りだ。

 高校生のアレックスは修学旅行のパリ旅行を目前に、得体の知れない不安と恐怖に付きまとわれている。周囲で起こる出来事のすべてが、自分の身に迫る危険を知らせているような気がするのだ。いよいよ飛行機に乗り込むと、離陸直後に飛行機は不気味な振動をはじめ、あっという間に爆発炎上。アレックスはそこで目を覚ます。離陸前の飛行機の中で、彼はうたた寝をしていたのだ。あまりにも生々しい夢にパニックを起こしたアレックスは、「この飛行機は爆発するぞ!」と叫んで大騒ぎ。数名の生徒や引率の教師と共に、飛行機から放り出されてしまう。パリ行きにお預けをくって、恨めしそうな目でアレックスを見る同級生たちの目の前で、彼らを乗せるはずだった飛行機は離陸し、そして爆発した。だがこれは、ほんの始まりに過ぎない。死神は取りこぼした命を刈り入れるため、彼らにしつこく付きまとい続ける。

 監督・脚本・製作は、人気テレビドラマ「X-ファイル」や「ミレニアム」で超常現象ネタを幾度も演出しているジェームズ・ウォンとグレン・モーガン。「X-ファイル」なら飛行機の爆発までをアバンタイトルにして、その後モルダーとスカリーが登場するところだ。しかしモルスカの登場しないこの映画では、主人公たちが自分たちで事故や死の謎を解明し、身を守らなければならない。隠された死の方程式を解き明かし、目に見えない死神を出し抜くためにありとあらゆる手だてをつくす。巨大な運命の手が仲間の命を次々奪っていく中で、いかにして死の予兆をキャッチしサバイバルするか……。

 映画の見どころは、飛行機事故の生存者が次々に残酷な死を遂げる部分。「X-ファイル」や「ミレニアム」もかなり残酷でえぐいシーンが多いのだが、テレビという制約の多い世界を離れたこの映画では、それらの何十倍も残酷な死が主人公たちを待ちかまえている。あまりの残酷さに、思わずスクリーンから目を背けたくなるほどだ。どうせ死ぬとわかっているのなら、なるべく苦しみの少ない方法で殺してほしいのに、死神は彼らの命をもてあそぶかのように、遠回しに迫ってくる。さんざんドキドキさせておいて、最後は「ここまでやるか!」と観客をドキリとさせ、同時に微笑させる映画です。

(原題:Final Destination)


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