レスリー・ニールセンの
2001年宇宙への旅

2000/10/24 日本ヘラルド映画試写室
有名人のそっくりさん大集合のSF風ドタバタ喜劇。
レスリー・ニールセン役もそっくりさん? by K. Hattori


 レスリー・ニールセンは1926年生まれで今年74歳。それがスペースシャトルに乗って月まで行ってしまう(!)というのだから、これはひょっとしたら『スペース カウボーイ』のイーストウッドたちよりすごいかもしれない。どうやったらスペースシャトルで月と地球を往復できるのかは知らないが、そのあたりは映画だから構わないのだろう。映画のタイトルは『2001年宇宙の旅』のもじりで、個別の場面では確かに『2001年』のパロディもいくつか用意されている。ただし物語自体は『メン・イン・ブラック』みたいなもの。腕利きの連邦保安官リチャード・“ディック”・ディックスが、異星人に誘拐されて月面基地のどこかに監禁されているアメリカ大統領を救い出すため、地球側のエイリアン対策担当である美女と協力して大活躍する物語。異星人たちは地球への侵入を禁じられているが、彼らは誘拐したアメリカ大統領のクローンを地球に送り込み、地球を意のままにしようと考えているのだ。

 映画の見どころは次々に登場する有名人のそっくりさんたちと、相も変わらず引き起こされるレスリー・ニールセンのドタバタ騒動。映画のパロディは、今回それほど多くないと思う。少なくとも記憶に鮮明に残るような、気の利いたパロディはなかった。そっくりショーはなかなか面白い。クリントン大統領のそっくりさんは、顔はともかく喋り方が似ているし、映画のクライマックスは彼にステージでサックスを演奏させるというもの。このそっくりさんは普通は1シーンだけ出演してボロが出ない内に引っ込むのだけれど、今回は大統領本人とそのクローンというのがモチーフになっているため、映画の後半ではそっくりさんが出ずっぱり。これはこの手の映画にしては珍しいものだと思う。

 ただこうしたそっくりショーも、もうひとひねりしてくれるともっと面白かった。せっかくヒラリー夫人のそっくりさんも登場しているのだから、彼女のニューヨーク市長選についても何かコメントがほしかった。ちなみにブッシュ前大統領は、ちゃんと自分の息子についてコメントしている。本物の大統領とクローンを見分ける方法を、ごく少数の人間しか知らないという設定も、物語の終盤でもっと生かしてもよかったと思う。

 レスリー・ニールセンは、高齢で体があまり動かせないのだろう。直接顔が映る場面以外はスタントマンが演じているようだ。これがかなり露骨で、時々体型の違って見える人まで混ざっている。ここまでしてニールセン主演の映画を撮るというのは、それだけアメリカで彼の人気があるという証拠なんだろうか。ニールセンの登場シーンの半分以上がスタントマンというそっくりさんで、映画に登場する有名人たちも全部そっくりさんだから、この映画のほとんどすべてはそっくりさんで作られていることになる。ラスベガスの物まねショーみたいな映画です。最後に物まねの定番プレスリーも登場するしね。

(原題:2001 A SPACE TRAVESTY)


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