槌橋雅博監督の初長編作品『TRUTHS: A STREAM』は、僕にとって難しい映画だった。上映時間は3時間2分。画面サイズは今どきの映画には珍しいスタンダード。オープニングの風景はカラーだが、その後はほとんどがモノクロになり、最後が再びカラー撮影された風景で終わる。プレス資料を見ると、この映画はきちんとストーリーのある劇映画だ。ところが僕はこの映画を観ながら、まったくストーリーを追いかけることができなかった。登場人物は響子と峻一というカップル。映画の中では彼らが山の中にこもり、流木で作った奇妙な形の小屋を建てたり、コンクリートの巨大な尖塔を作ったりする。ドラマを進行させるための芝居もあるし、会話もあるのだが、その会話が非常に観念的で、我々が一般的に知っている映画の中の台詞や日常生活の中の台詞からはかけ離れている。固い漢語がたっぷり混ざった抽象的とも思える会話は、ほとんどの場合まったく噛み合っていないし、難解すぎて意味不明なのだ。