フリントストーン2
ビバ・ロック・ベガス

2000/07/04 UIP試写室
フレッドとウィルマの結婚までを描く、前作のプレ・ストーリー。
最後のダンスシーンで大満足できました。by K. Hattori


 '94年に公開された『フリントストーン/モダン石器時代』の続編だが、話の内容は主人公たちが結婚するまでのドタバタを描いたコメディとなっており、時間は前作よりだいぶさかのぼる。(プレス資料には『エピソード1』という表現があったけれど、まさにそういうものです。)出演者は前作から総入れ替えで、ずいぶんと若返っています。僕は前作より、今回の方がフレッシュな感じがして好きだな。この映画の見どころは、モダン石器時代風にアレンジされたファッションや美術のデザインや、アニメ流に誇張された動きを実写で再現している部分。お話そのものはじつに単純です。

 とにかく映画の中では「石器(石)」「岩」というのが大きなモチーフになっていて、何でもかんでもこのふたつに結びつければOKという大らかさがある。今回の映画は、タイトルからしてプレスリーの『ラスベガス万才(VIVA LAS VEGAS)』にひっかけた駄洒落。しかしそれだけで映画を1本作ってしまうのだからすごい。劇中ではテーマ曲をもじった「ビバ・ロック・ベガス」が歌われますが、これを歌っているのは『ラスベガス万才』に出演していたアン・マーグレット。映画の最後には大規模なダンスシーンも用意されていますが、ロック・ベガスのネオンサインの前で大勢のダンサーたちが踊る様子は『雨に唄えば』の「ブロードウェイ・メロディ」みたいなノリ。この時後ろで演奏しているのは、ミック・ジャギー&ストーンズだ。ああ、やっぱり駄洒落なのね。

 1時間半しかない映画の半分は駄洒落、半分はすべって転んで系のベタなギャグで占められており、それらを使い古された新鮮味のないストーリーで串刺しにしている格好。しかしこれはこれで面白い。映画が始まった途端にユニバーサルのカンパニー・ロゴが登場するのだが、それが「ユニバーシェル」ともじってあるところから、僕はもうこれにハマってしまいました。敵の思うつぼですな。この映画はこの手の細部へのこだわりが徹底していて、映画のエンドロールが終わった最後に、普通ならユニバーサル・スタジオの案内がスライド(止め絵)で映写されるところも、御丁寧に「ユニバーシェル・スタジオ」になっている。ここまでやってくれれば、観ている方としては降参するしかないでしょう。

 金持ちの娘と労働者階級の男が恋をして、家族はふたりの結婚に大反対。金持ち娘の元恋人は事業で破産しかけており、娘の相続する財産を狙って復縁を迫る。そんな単純なお話なので、物語に破綻など生じようがない。これはこれで完成された世界だし、完成された映画です。これ以上どこをどういじろうと、この映画がこれ以上面白くなるわけではない。この映画が作っている世界観やノリが楽しめる人はこれでOKでしょうし、それが受け入れられない人はまったく面白いと思わないでしょう。

 出演者の中では、バーニー役のスティーブン・ボールドウィンが面白かった。このとぼけ具合やボケ具合が、ほとんど地のままじゃないかと思わせるハマリ役です。

(原題:The Flintstones in Viva Rock Vegas)


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