ロッタちゃんと赤いじてんしゃ

2000/05/30 日本ヘラルド映画試写室
大ヒットした『ロッタちゃんはじめてのおつかい』の姉妹編。
前作ほどの衝撃はないがロッタはカワイイ。by K. Hattori


 恵比寿ガーデンシネマで異例のロングラン・ヒットを更新中の映画『ロッタちゃんはじめてのおつかい』の続編。原作はアストリッド・リンドグレーン。出演者やキャストも前作通り。グレテ・ハヴネショルド演じるロッタちゃんの活躍ぶりを、ニコニコ笑いながら観ていればそれでいい。続編といっても中身はいくつかの原作をつなぎ合わせたものなので、時間的な前後関係はあまり関係ない。撮影自体は前作と同時期に行われているし、製作年度を見るとかえってこちらの方が早かったりするぞ。今から8年も前に製作された映画ですが、時事ネタがあるわけでもないので中身は古びていない。気になるのは、配給会社が主演のハヴネショルドをキャンペーン来日させると言っていること。そんなことしたら、せっかくの映画が急に古びて見えないか? 撮影当時は5歳だった彼女も、今じゃティーンエイジャーだよ。

 僕は『ロッタちゃんはじめてのおつかい』を大変気に入ったのですが、今回の映画は前回ほどのインパクトはなかった。怒りん坊でいつもふてくされているロッタの魅力は前回通りだし、姉のミアや兄のヨナス、お父さんとお母さん、お隣のベルイさんなどの登場人物も総出演。それだけで十分に楽しいことは楽しいのだけれど、今回はお話が少し弱かったようにも思う。前作は3冊の原作をもとに、3つの物語が3つの季節にまたがって進行する連作風の構成になっていた。ひとつひとつの物語に起承転結があって、どれも最後は少しホロリとさせる。でも今回はそうした物語の切れ目が特に明確になっておらず、小さなエピソードを数珠繋ぎにして1時間18分の映画にしている。タイトルにもなっている自転車のエピソードや、ピクニックでヨナスが溺れかける話、田舎の農場でロッタがちょっとした騒動を起こす話など、ひとつひとつの挿話は面白いし心を打つ。でもどのエピソードも位置づけとしては似通っていてメリハリには欠ける。

 撮影は例によってスウェーデンにあるリンドグレーン作品のテーマパーク「アストリッド・リンドグレーン・ウェールド」で行われているそうです。当たり前のことですが、ロッタたちが住む街角の風景などは前作『ロッタちゃんはじめてのおつかい』とまったく同じ。たぶん今このテーマパークに行っても、同じようにロッタの家は存在するのでしょうね。6月から8月までしか開園していないそうですが、映画がヒットしたことでこのテーマパークを訪問する日本人観光客も増えたかもしれない。

 『ロッタちゃん』シリーズはもともとスウェーデンのテレビ映画で、日本でも何年か前に吹替版のビデオがビクターから発売されていたそうです。(「おてんばロッタちゃん」「ロッタちゃんとクリスマス」の2本。)海外製作の未公開映画やテレビ映画は日本でも大量にビデオ発売されているわけですが、そんな中にも優れた作品がたくさん眠っているということを、この映画のヒットが証明しているのかもしれません。いずれDVDなどが発売されたら、僕も買いたいと思っている映画です。

(原題:LOTTA PA BRAKMAKARGATAN)


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